モデル地区設定し農地集約化めざす 大分・日田市農業委員会
日田市農業委員会(小山一善会長)は2017年7月20日に新体制へ移行し、農業委員19人(うち女性4人)、農地利用最適化推進委員19人の計38人体制となった。それから1年が経過し、地元や担当地域での話し合いに積極的に参加するなど、委員の自覚も高まり、農地利用最適化活動が活発化してきている。
同委員会は定期検討会を、今年5月から2カ月に1回のペースで開いている。両委員と関係機関が集まり、互いに情報共有し、連携を深めている。
この定期検討会は「担い手への農地利用集積・集約化の促進に向けた農業委員会と農地中間管理機構等関係機関との連携強化に関する統一方針」に位置づけられた重要な柱の一つ。農地利用の最適化が農業委員会の必須業務になったことを踏まえ、県、県農地中間管理機構、県ネットワーク機構(県農業会議)が2017年10月に策定した。
同委員会の定期検討会では毎回テーマを設け、研修も行っている。「この定期検討会を情報共有の場のみとせず、委員の研さんの場としたい」という小山会長の意向によるものだ。これまでに、同市の農業振興に関する事業や地域就農システム確立事業、有害鳥獣対策などを学んでおり、資質向上の場として成果が上がっている。
同委員会では、市町村農業委員会と県農業会議で推進を決めた「モデル地区設定による農地の集約化推進運動」のモデル地区を「前津江地区」に設定。同地区は、2017年7月に任意組織の「まえつえ営農組合」が設立され、組合長を同委員会の石井照久副会長が務めている。
同組合は、設立以前から集落営農組織として規約を定め、活動してきたが、新たに農作業受託規程を定め、構成員の農作業を受託する体制として一新。まずは、地域の集落・農地の情報を知る必要があったことから、石井副会長を中心に地元委員と一緒に農地パトロールで農地状況を把握しつつ、地区内で「人・農地プラン」作成にも取り組み、話し合いを重ねてきた。
また、同組合は法人化を目指しており、その上で必要となる「収益を上げる組織づくり」のため、天領時代の日田野菜を地域の特産品とするべく、復活に取り組むことにした。しかし、日田野菜の原種を見つけることは容易ではなく、他の地元委員の協力も得て原種探しに奔走し無事に確保した。
そして今年の10月、日田野菜の栽培に着手すべく農地パトロールで発見した約60アールの耕作放棄地を草刈りし、畑として整備。化学肥料を使わず有機肥料での地力回復を目指し、レンゲの種をまいた。地力が回復した後、日田野菜を地区内の女性グループが栽培する予定にしている。
まえつえ営農組合を中心とした農地集積の取り組みは、法人化を目指す同組合の発展と両委員の行動力・リーダーシップが成功の鍵を握っており、農業委員会への期待も高まっている。
写真上=定期検討会で研修を受ける委員
写真下=前津江地区の「人・農地プラン」作成の話し合い