農地利用最適化に向け 地域の話し合いリード 宮崎市農業委員会

 2017年7月に新体制に移行した宮崎市農業委員会(松田実会長)。24人の農業委員、44人の農地利用最適化推進委員で活動している。毎月、地区別連絡会を開き、区域内の農地などの情報を共有化し、農業委員と推進委員、そして事務局が一体となって農地利用の最適化の推進に努めている。その中から、積極的に地域での話し合い活動をリードし、農地中間管理事業を活用して、担い手への農地の集積・集約化を進めている委員2人の活動を紹介する。

 1人目は、農業委員の日高隆志さん(61)。地元、青水地区の農業者から、耕作を依頼される水田が増えてきており、農地を集積・集約していかないと、これ以上受けるのは難しいという声を聞いた。元JA職員で、地域の状況に詳しい日高さん。農地台帳を整理してみたところ、同地区では、地権者は七十数人だったが、耕作者は11人程度と判明。高齢化も進んでおり、10年後には農地の維持が困難になることが予想された。
 そこで、日高さんは昨年2月、人・農地プランの座談会を開催。自作の地図を使用するなどして、参加者に理解を求めた。話し合いの結果、意欲のある5人の農家を担い手と位置づけ、作業の効率化・収益の向上を図るため、農地中間管理事業を活用して、農地を集積・集約化していくことになった。
 日高さんは、隣の新名爪地区でも推進活動に取り組んでいる。まず、独自にアンケート調査を実施して農地利用や農業経営の意向を確認した。
 「今後、集計結果を基に、座談会などで農地を守り、有効活用するための話し合いを進めていきたい」と意欲を語ってくれた。

 もう1人は、推進委員の横山一さん(70)。自らもマンゴー生産者として地域農業をけん引してきた横山さん。今回の制度改正を機に、農業委員から推進委員となり、引き続き農地の課題解決に奔走している。
 担当区域の富吉地区は、基盤整備も行われ、優良な農地が確保されているが、近年は、高齢農家のリタイア・後継者不在により、一部の施設園芸農家に耕作を依頼されるケースが多くなってきた。横山さん自身も、年々水田の経営面積が拡大し、限界に達していると感じていた。
 そのような現状から、まず、地元の担い手グループと協議する場を設定。話し合いを進める中で、今後、安定的に農地を貸借するために、農地中間管理事業を活用するという方針が示された。続けて、地権者への説明会を開き、今後も地域の担い手で農地を守っていくためには、農地を集積・集約化することが不可欠で、そのために同事業による権利設定をしていきたいと協力を依頼し、了解が得られた。
 「人・農地プランの話し合いを進めることで、前向きに地域農業の将来を考えようと、地域の方々の意識も変わってきた」と横山さんは語った。

写真上=日高隆志さん

写真下=横山一さん