委員・職員一丸で最適化 山形・飯豊町農業委員会
飯豊町農業委員会(井上禎夫会長)は、農業委員10人と農地利用最適化推進委員10人で活動している。2017年7月に新体制へ移行して以来、農地利用の最適化に向けて全委員と事務局職員が一丸となり、さまざまな取り組みを精力的に行っている。
同町では新規就農者を確保・支援するため、町と農業委員会が協力し、新・農業人フェアや移住相談会への参加、農業体験の受け入れなどをサポートしている。同町の新規就農者は毎年10人ほどで、中には県外からの参入もある。独立予定のIターン者の農地100アールを確保するため、現在の耕作者や所有者との交渉、遊休化した農地の除草作業など、さまざまなバックアップを農業委員と推進委員が協力して行っている。
こうした活動に加え、特に力を入れているのが遊休農地の解消と農地の集積だ。担当地区ごとに班を編成し、毎年8月に農地パトロールを実施している。その結果、一昨年は5.7ヘクタールの遊休農地を確認し、所有者へ利用意向調査を発出するとともに、一部の農地については耕作放棄地再生事業を活用。地域の担い手と協力して解消に取り組んだ。また、遊休化が心配された農地は、地元の委員が所有者と一緒に草刈りをした事例もある。
一方、農地の集積は人・農地プランでの話し合いを基本とし、地域の担い手や農地の出し手となる人の把握に努めている。貸し付け希望者が現れた場合は、地元の委員を通じて事務局へ申し出てもらう。その際、委員に農地の所有者や周辺状況の分かる地図を提供し、効率的に担い手へ結びつけられるよう工夫している。
おおむね1カ月以内に農地のマッチングが成立し、賃借料も決まった形で報告があるという。本年度は40人ほどの貸し付け希望の申し出があり、そのほとんどが貸借に結びついた。最終的に約30ヘクタールの新規集積を見込んでいる。
今後はさらなる集積に向けて農地の所有者にアンケートを実施し、意向を確認する。アンケートには貸し付け希望だけでなく、後継者の有無など具体的な項目も用意し、実務に役立てていく。この結果は本年度の人・農地プランの見直しに反映させる予定だ。
井上会長は「『日本で最も美しい村連合』に加盟する本町がその資格を維持するためには、農地を集約する大規模農家と家族経営などの小規模農家の両方が必要。農業委員会としても、地域の状況を把握しながら農地利用の最適化に向け頑張りたい」と意気込む。
写真上=農業委員会が開いた農地・農業者年金相談会。農地中間管理機構の活用などを呼びかけた
写真中=毎年8月に農地パトロールを実施
写真下=地元の委員が所有者と一緒に草刈りをした