最適化へ 多様な地域の動き出し支援 長野県農業会議

長野県は中山間地域が多く、農地の集積を進めるためには、まずは地域の話し合いがポイントとなる。そのため、本年度から「地域農業を考え、農地等の利用の最適化を進める長野県運動」をスタート。長野県農業会議(望月雄内会長)は、農業委員や農地利用最適化推進委員に最適化の活動をさらに具体的に示せるよう、▽研修会の充実▽事例を集め、市町村間の情報を共有し合う「横展開」の強化▽そのための農業委員会への情報支援の充実――に力を入れて取り組んでいる。
第1弾として「農地利用最適化推進研修会」を昨年の7月20日から26日まで、県内4地区で約千人を集め、活動を進めるための研修や事例報告を行った。特に事例報告は、全農家への戸別訪問、農地中間管理事業の活用、「人・農地プラン」の先進的取り組みなど、県外の3委員会が特色ある活動を発表した他、県内の委員らも農地利用最適化に向けた活動などを報告した。
第2弾は「農業委員・推進委員農地利用最適化行動ガイドブック」を10月に作成し、農業委員らに配布した。県の「『人・農地プラン』見直し(作成)・農地中間管理事業の活用実践マニュアル」の作成にも関わった。
第3弾は「農地利用最適化推進検討会」で、県内を10地区に分け、8月から12月にかけて開いた。県内には市町村が77あることから、各農業委員会の活動状況や課題を近隣市町村間で共有し、活動を横展開してもらうことが狙いだ。
「地区別検討会」では、県の現地機関の参加も得て、(1)人・農地プランなど話し合いへの参加(2)情報共有の場づくり、組織体制(3)戸別訪問、意向調査(4)農地中間管理機構との連携、農地集積(5)遊休農地対策(非農地判断を含む)――について農業委員会事務局が報告。これにより市町村間で情報共有ができ、参加者の関心が高かった取り組みを中心に活発な意見交換が行われた。また、農業会議としても改めて地域の活動状況や今後の計画、取り組みを進めるに当たっての課題について情報を得ることができ、有意義なものとなった。
一方で委員活動のさらなる推進に向け、マッチング情報の伝達、非農地化、所有者不在農地への対応、園芸地帯の集積など出された課題も多く、関係機関と連携する中で、地域農業の現状把握や話し合いのコーディネートなど農業委員会組織が果たすべき役割は重要であることが再認識できた。今後は、県担当部署と連携して人・農地プランの作成主体である市町村も対象にした研修会の開催など、関係機関が一体となり推進を一層加速していく方針だ。
写真上=地区検討会ではいろいろな課題を出し合った
写真下=農業委員・推進委員農地利用最適化行動ガイドブック