両委員が話し合いの場づくり 静岡・藤枝市農業委員会


藤枝市農業委員会(遠藤悦男会長)では、農地利用最適化を推進するため、会長の旗振りのもと、農業委員・農地利用最適化推進委員が中心となり、市内全地区で地域の話し合いの場づくりを進めている。その中でも先行して実施している同市東部地区の事例を紹介する。
同地区は水田地帯で、誰が何をどこで耕作しているのかなどを把握しきれていなかった。それを明確化し、農地利用の最適化に取り組んでいきたいという農業委員の思いから、農業委員会法の改正をきっかけに地域の話し合いに取り組むことになった。
同市農業委員会(農業委員・推進委員・事務局)、担い手、農地所有者、行政(県農林事務所、市農林課)、関係団体(農地中間管理機構、JA大井川)をメンバーに、農地利用推進協議会をつくり、2018年4月から話し合いをスタートした。その中で中心的役割を果たしたのが海老名正和農業委員だ。地域の現状を心配し、皆で将来について考える機会が必要だと思い、関係者に連絡し参加を促した。その他同地区担当の5人の農業委員・推進委員も賛同する形で参加した。
1回目の協議会では約25人が参加し、顔合わせと、協議事項の確認、協議会の方針について話し合った。方針では(1)担い手を地図に落とし込み、農地集積・集約化の可能性と遊休農地の発生防止・解消について協議すること(2)新規参入者の育成・支援――の大きく2点について合意に至った。
2〜3回目には、農地の利用状況図の作成などが行われた。6畳ほどの白地図を市農林課で用意し、担い手を色分けして分類、放棄地や保全管理地などの情報も地図に落とし込んだ。また、モデル地区を選定して取り組むこととし、“条件が悪いところから先行して取り組むべきである”という皆の意見により、東部地区の中でも耕作条件が悪く、放棄地が多い地区から取り組むことにした。
4〜5回目には意向調査の対象範囲や調査項目・方法などについて協議。今後は3月末までに意向調査を実施して、結果を取りまとめ、具体的な集積・集約化を検討していく。また、町内会からも協議会に参加させてほしいとの話が来るなど、地域全体を巻き込んだ取り組みとなりつつある。
海老名委員はこの取り組みに終わりはないとしつつも「どこで完結かといったら耕作放棄地が全部なくなって、担い手に集積・集約し大きな一面の農地で農作業ができるようになれば。使えない農地も出てくると思うがそれも含めて地域で考えていく必要がある」とやる気満々に話した。
写真上=左から鈴木一好推進委員、海老名農業委員、藪崎英夫推進委員、米村公代農業委員。その他東部地区には堀江洋一農業委員と片山昭雄農業委員がいる
写真下=担い手を色分けした農地の利用状況図。放棄地や保全管理地などの情報も分かる