「貸したい」と「借りたい」総点検し126ヘクタールマッチング 鹿児島・農業委員会ネットワーク

 鹿児島県農業委員会ネットワーク(農業委員会、農業会議)では、県、県農地中間管理機構と連携・協力して、「鹿児島の農地『貸したい』『借りたい』総点検」を推進している。現在95%の農業委員会で戸別訪問による農地利用の意向確認を実施中。また、昨年末現在で約10万戸の対象農家に対し、2万1526戸(21%)の意向を確認済み。結果、1118ヘクタールの貸し付け希望、996ヘクタールの借り入れ希望があり、126ヘクタールのマッチングが成立した。

 この総点検活動は、2016年の農業委員会法改正で主たる業務となった農地利用の最適化、とりわけ担い手への農地集積・集約化のための具体的な取り組みとして実施している。サブタイトルを「1・5・一絵(いちごいちえ)活動」とし、農業委員・農地利用最適化推進委員が1カ月に5戸程度の農家などの意向を確認し、得られた意向を地図に反映、地域の話し合い活動と将来ビジョン策定に役立てるという思いを込めている。
 当面は、意向確認の着実な実施を最優先に、活動で得た貸借希望を実際のマッチングへつなげていくため、関係機関・団体と連携して、モデル地区での話し合い活動や地図化への展開を目指している。

 総点検活動のもう一つの特色に、「進捗把握・分析シート(エクセル)」の活用がある。四半期ごとに、回答を得た農家戸数や貸借希望面積、うち貸借に至った農地面積など基本的事項を入力すると簡易な分析ができ、現状や課題が分かる。
 農業委員会から県へ報告すると、県全体の集計結果も即座に得られ、農地中間管理機構や農業会議などの関係機関・団体で情報共有している。貸借希望を踏まえたマッチング面積などの実績も本シートから得られた情報であり、今後も改良を加えつつ、総点検活動の「見える化」に努めていく。
 もちろん農地をめぐる状況や課題は一様ではない。貸借希望があっても直ちにマッチングに至るとは限らない。しかし、課題解決のヒントもまた現場にある。各農業委員会において総点検を充実させるため、さまざまな創意工夫をしている。
 例えば、班会で意向確認状況を話し合う薩摩川内市、地域の話し合い活動に積極的に参加するさつま町、委員自ら重点地区を設定して地図作成までを行う湧水町などだ。こうした特徴ある取り組み事例も情報共有し、新たな農業委員会活動の強化をネットワーク一丸で目指す考えだ。

写真上=地図を見ながら意向確認について打ち合わせをする薩摩川内市農業委員会

写真下=地域の話し合い活動に積極的に参加するさつま町農業委員会