戸別訪問で意向調査 座談会で活用へ 高知・四万十市農業委員会

 四万十市農業委員会(福留宣彦会長)は地域の農地利用の意向把握のための調査を実施している。今回は、その取り組みについて紹介する。

 四万十市は県西部に位置し、豊かな森林に囲まれ、市域には日本最後の清流と言われる四万十川が流れる。主要産業である農業はナス、ピーマンなどの施設園芸をはじめ、オクラやシシトウなどの露地栽培が盛んに行われている。
 新規就農者への支援にも力を入れており、農業研修施設として「市立四万十農園あぐりっこ研修センター」を設立している。
 農業委員会も農地を守り、担い手を支援していくために、昨年9月から地権者と耕作者に対し、営農についての意向調査を実施している。営農の意向を把握することで、同市の農地と農業の将来像をより明確にすることが狙いだ。
 調査は農業委員と農地利用最適化推進委員が戸別訪問により行う。対象者も多く、非常に煩雑な調査となるが、郵送ではなく戸別訪問としたのは、委員自らが活動することで委員自身の意識の向上にもつながるためだ。

 聞き取る内容は、今後数年間の農業経営の意向や、貸し付けができる農地があるかどうかなどについて。委員が1人当たり1カ月で3人に対して戸別訪問をすることを目標としている。2021年4月の任期満了までには約2千人の意向が把握できることになる。農業委員と推進委員が担当地区を手分けして調査し、毎月、定例会後に進捗状況の確認など打ち合わせをしながら進めている。
 蕨岡地区を担当する谷崎容子農業委員は「調査をしてみて改めて地域のことを知ることができた。地元の状況を把握できていると思っていたが、知らないことも多い。後継者がいないと思っていた耕作者に話を聞くと実は後継者がいて、掘り起こしにもつながった」と話す。
 同市農業委員会は、11地区で開催される人・農地プランの作成や見直しのための座談会には必ず参加しており、この調査により収集した情報を座談会で活用していくことを目標としている。

写真上=人・農地プランの座談会

写真下=戸別訪問で営農意向を調査する谷崎委員