活動を見える化 12地区で意見交換会 沖縄・うるま市農業委員会

 うるま市農業委員会(山口榮勝会長)では、農業委員会活動の見える化に積極的に取り組んでいる。「人・農地プラン」地域意見交換会に農業委員・農地利用最適化推進委員が取りまとめ役として参加。同委員会では、委員自ら遊休農地を借り受け、委員総出で管理・再生につなげた遊休農地対策などさまざまな活動を行っている。

 同市は、沖縄本島中部に位置し、2005年4月に4市町が合併し誕生した。八つの島を有し、うち五つは海中道路や橋によって結ばれている。耕地面積1030ヘクタールでキクなどの花卉類、肉用牛や豚などの畜産業が盛んだ。他方では、農家の高齢化や後継者不足により、遊休農地面積が171.6ヘクタール広がっている現状がある。
 同委員会は、2018年4月に新体制に移行し、農業委員14人、推進委員16人の計30人体制だ。同委員会は、市農政課との共催で「人・農地プラン」地域意見交換会を市内12地区で開催。意見が出しやすいようにとグループ討議を行い、担当地区の農業委員と推進委員は参加者からの意見や要望の取りまとめ役として会に参加している。グループ討議を行うことで、より身近な課題集約が容易となり、農業委員・推進委員の顔つなぎにもなっている。
 地域意見交換会への情報提供を行うため、農地パトロールを早期に取り組み、5月から実施している。人・農地プランの12地区をさらに細分化した19地区に、担当地区の農地情勢に精通した農業委員と推進委員をペアで割り当て、よりキメ細やかな調査に努めている。2018年度は目標の11ヘクタールを解消した。
 また、「目立つ農地パトロール」も見える化の一環として、身分証、名刺、農業委員会キャップ、ゼッケンを着用し、農業委員会活動の取り組みをPRしている。

 遊休農地解消の取り組みとして、「毛畑(もうばたき)※を優良農地に戻す運動」と銘打ち、山口会長自身で遊休農地を利用権設定で借り受け、委員全員で草刈り作業や整地作業を行い、これまでに3カ所、約84アールを解消。サトウキビを植え付けた。
 畑では、周辺農家を招き肥培管理講習、トラクターの操作講習会を開催。その他、食育活動としても、地域の保育園児を招き、サツマイモやジャガイモの植え付け収穫体験を行っている。収穫された作物は市内給食センターへ提供されている。季節によっては、コスモスやヒマワリを植え付け、景観形成にも一役買っている。
 山口会長は「農業委員会活動の見える化により、農業委員会の業務を理解してもらい、担い手への農地集積・集約化につなげたい」と語り、また、野島孝司事務局長は、「今後も活動を継続し、関係機関とも連携して着実に成果を上げていきたい」と話した。

※毛畑とは、沖縄の方言で手入れを怠り、雑草が繁茂し放置された畑

写真説明=「人・農地プラン」地域意見交換会で意見を取りまとめる山口会長(右)と島袋昌廣推進委員