農地を活かし担い手を応援する 総力あげ農地を有効活用 長崎・松浦市農業委員会

「目に見える成果」着実にあげる

 長崎県本土の最北端に位置する松浦市は、意欲的に経営改善に取り組む農業経営が存在する一方、高齢化や後継者不足、農産物価格の低迷などにより遊休農地も多く発生している。同市農業委員会(山川重晴会長)は、遊休農地の解消と農地の有効利活用に委員会を上げて取り組み、目に見える成果をあげてきている。

 松浦市は、北を伊万里湾、三方を山に囲まれ中山間地も多いが、豊かな自然や地理的条件を効果的に活用して営農を展開している。水稲を中心として、施設野菜、肉用牛を基幹作物に、ブドウ、ミカン、露地野菜、花き・花木などを組み合わせた複合経営が主体だ。
 市内のほとんどが中山間地域で遊休農地の発生も多いことから、市農業委員会は、地図システムを活用した一筆ごとの農地利用状況調査を徹底した。同時に、遊休農地と借り受け希望者とのマッチング相談会の開催や農業委員会によるあっせんにも取り組み、遊休農地の解消を進めてきた。

 利用状況調査では、市内を8地区に分け、地区ごとに地区担当の農業委員が1日かけて現地調査を実施した。農業委員会が管理する地図システムから白地図と航空写真を出力して現場に携帯して一筆ごとに調査を行っている。
 同時に利用意向調査も実施しているが、特に、2014年度に実施した調査では、遊休農地の所有者だけでなく、遊休化の恐れがある農地についても意向を把握するため、市内の全農家を対象に調査を実施した。
 調査票は「農業嘱託員」(実行組合長など)が農家を戸別訪問して配布し回収まで行った。また、調査票が回収できない農家については地区担当の農業委員が出向いて回収を行うなど、きめ細かい取り組みの結果、回収率は約80%となった。その調査結果をもとに、現在は、対象農家を戸別訪問して、農地中間管理事業の活用も含めた具体的な意向の確認作業やあっせんに取り組んでいる。
 15年度は、利用状況調査の徹底と農地への復元、あっせんなどにより約30ヘクタールの遊休農地が解消された。現在、A判定の遊休農地は5ヘクタールを下回るまでになった。
 農業委員会は今後も「守るべき農地は守っていく」との方針で、農地行政に取り組んで行く。

写真上=復元前の遊休農地

写真中=復元後

写真下=地区別の移動農業委員会