今年で40年目を迎える農地銀行 山梨・甲府市農業委員会
甲府市農業委員会(西名武洋会長)は、農地を貸したい人と借りたい人の仲介をして利用権設定を促す「農地銀行」の取り組みを1982年(昭和57)からスタート。今年は40年目の節目の年を迎える。
同委員会の農地銀行制度は、農業委員19人と農地利用最適化推進委員18人の計37人をはじめ、地域の実情に精通した元委員やJA職員など40人が市独自の推進員として加わった総勢77人の体制で構成されている。昨年7月には第14期目がスタートした。
同制度を活用した認定農業者や認定新規就農者の利用権設定にあたっては、面積や期間などに応じ、貸し手と借り手に独自の奨励金を支払っている。取り組みにあたっては、市内を12地区に区分し、農地の結び付きをきめ細かく進める。ここ5年間では、毎年12ヘクタール以上の利用権設定や権利移転の実績を上げている。
先月24日には本年度の農地銀行推進員会議が開かれ、本年度の農地銀行業務の実績が報告されるとともに、来年度の活動方針や目標面積などについての話し合いが行われた。
来年度の活動方針では、10ヘクタール以上の利用権設定や権利移転を目標として掲げている。また、新規就農者が農地を借りる場合、住居や作業場、農業機械などが併せて借りられるような仕組みづくりを強化していくこととした。
市内の養蜂家・野村洋平さんが、ミツバチの蜜源確保や景観美化に貢献したいという思いから、大学や農薬会社の協力の下、農地銀行を利用して1ヘクタールの耕作放棄地を借り受け、花畑に変えたという珍しい事業の活用事例もある。
野村さんが借り受けた耕作放棄地は、除草作業が行われた後にクリムゾンクローバーやアンジェリアなどの春開花の種が播かれ、例年4月頃には畑一面に色とりどりの花が咲き誇る。この取り組みは「耕作放棄地のお花畑プロジェクト推進協議会」により現在も続けられている。
西名会長は「これからも農地銀行の活用を進め、野村さんのような意欲ある担い手に農地を提供できるよう活動を続けていきたい」と、意欲を語った。