委員の連携と機動力で農地利用最適化に奏功 沖縄 国頭村農業委員会

 沖縄本島最北端に位置する国頭村は、村土の84%を亜熱帯照葉樹林が占める。農家の高齢化による離農が危惧される中、農業委員と農地利用最適化推進委員の協力体制による連携と機動力のあるマッチング活動で、利用集積や新規参入など農地利用の最適化の推進に効果を発揮している。

農地パトロールをする委員のみなさん

 同村農業委員会(古堅正幸会長)は、農業委員5人、推進委員8人、計13人体制で村内全20集落を地区担当
している。
 同委員会では、昨年9月の改選時に青年農業者らを推進委員に積極的に登用した。委員の機動力の発揮と連携・協力体制の整備により、農地利用の最適化推進に向けた現場活動を着実に進めるためだ。

 また、経験豊富な先輩委員の助言、指導は同委員会の活動では重要な役割を果たしている。推進委員の委嘱も担当地区の状況を勘案し、機動力を重視して人選した。農業委員会総会では、審議案件に関係する地区担当の推進委員も出席し、状況確認を行っている。
 同村は平地や山間部の土地柄から、字界などが入り組んだ地積があり、利用状況調査、確認、実態把握は困難をきわめている。そこで、迅速な課題解決を図る観点から総会終了後の勉強会を定例化。農業委員、推進委員の担当区域を越えた情報共有と意見交換を行い、現場活動に生かしている。
 農業委員会窓口にはおのずと地域の情報が舞い込んでくる。これまでは県外、村外からの新規参入者の就
農に際して相対交渉などによるトラブルが発生しがちだった。しかし、農業委員、推進委員の緊密な連携による活動が奏功し、近年は農地中間管理機構の活用が増え、トラブルが少なくなった。これにより利用調整なども容易になったと田場盛久事務局長補佐は話す。

定例化した総会終了後の勉強会

 農地利用の最適化に積極的に取り組んだ結果、利用集積については耕地面積574ヘクタールの41%に当たる237ヘクタールを集積。遊休農地については新規参入6経営体への集積を含め22.2ヘクタールを解消した(2020年度実績)。
 安波地区では「ゆがふ農場」が5.5ヘクタールを集積して新規参入した。さとうきびを主体とした同法人の機械化体系などの取り組みは、スマート農業のモデルとして期待が寄せられている。

 古堅会長は、「農業委員、推進委員とも使命感を持って取り組み、新規参入や利用集積・集約化に一定の成
果を上げた。他方、高齢化による離農が顕著となり、自然発生的な耕作放棄地の発生を危惧している」と話
す。今後の活動指針の見直しは、これまでの実績の推移を見ながら検討を行う方針だ。「脊梁(せきりょう)山地にある農村環境。地域の実情にあった活動指針が必要」と見直しに向けた意欲を語る。