農地を活かし担い手を応援する 5年で遊休農地42ヘクタール解消 兵庫・神戸市農業委員会

 神戸市農業委員会(井上重信会長)は、5年前から農業委員が面談して意向を確認するなど遊休農地所有者に寄り添った対応に努めることで大きな成果を上げている。この5年間で約42ヘクタールの遊休農地を解消した。
 同市は農地面積5198ヘクタール。そのうち遊休農地が約99ヘクタールで、遊休農地率は約2%だ。
 2011年度から農業委員が遊休農地所有者と面談し、農地への復元を促すとともに「遊休農地になっている理由」や「農地を今後どうしたいか」などといったアンケートを実施して意向を把握してきた。2014年度からは法令業務として利用意向調査を実施することとなったが、できる限り農業委員が面談することで回答率は8割と高く、草刈りなど農地の維持管理に応じる所有者も多い。
 今年7月には、同市で初めて、遊休農地が農地中間管理機構を通じて担い手に貸し付けられた。農業委員が農地所有者に同事業の制度説明をしたり、地元営農組合に該当農地を地区外の担い手が利用しても良いかなどの連絡調整を積極的に支援したことで、農地中間管理機構と農地所有者との協議がスムーズに進んだという。
 また、他人に農地を貸すのを嫌い、交渉がなかなか進まなかった案件でも、農業委員が足しげく通い、粘り強く交渉したことで、新規就農者に貸し付けた事例もある。
 同市農業委員会は「面談することで所有者の細かな状況が分かる。その状況に合わせて農地中間管理事業や農地利用集積円滑化事業、市の農地バンクなどを紹介して支援していきたい」と話す。
 同市農業委員会では2007年度から農地を利用する担い手が確保されるまでの間、草刈りや耕起の経費を補助する「耕作放棄地公的管理モデル事業」を実施しており、これまでに5.6ヘクタールの遊休農地が解消された。今年は、昨年の倍の120万円の予算が措置され、1.9ヘクタールの解消を目指す。
 また、昨年11月、農地の適正管理についての啓発リーフレットを作成し、地区の農会長らを通じて配布した。今年は、担い手への集積につなげるため貸し借りの手段の紹介も加えて作成することにするなど遊休農地対策に力を入れている。
 同市農業委員会では、「遊休農地の4分の1が森林原野化している農地となっているため、今後は非農地の判断も進めざるを得ない」と話している。

写真説明=耕作放棄地公的管理モデル事業を活用して復元作業する遊休農地