農委活動のICT化へ タブレットをフル活用 茨城・笠間市農業委員会

 茨城県の笠間市農業委員会(永田良夫会長)は、新型コロナウイルス感染症への対策や事務の効率化を進めるため、今年2月の総会から、議案書を紙媒体からタブレット端末を利用する方式に変更を始め、農業委員会活動のICT化を進めている。

総会議案書をタブレットにより確認

 「そろそろ総会の開催時間となりますので、タブレットの電源が入っているかご確認ください」と菊地恵一事務局長補佐は会場に呼びかけた。
 同委員会は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から試行錯誤しながら総会を行ってきたが、同感染症への対応や事務の効率化を目指し、総会でのタブレットの導入を全国に先駆けて決めた。
 3月25日はタブレットを利用した2回目の総会。これまで各委員が使いこなせるよう、市独自のマニュアルを作成するとともに、事前研修も2回行った。
 研修会では、電源の入れ方から始まり、会議システムのIDやパスワードの入力方法などを確認した。「入力方法や議案書を次に進めるにはどうしたらいいか、などの質問が多かったが、今では比較的スムーズに使えるようになってきた」と永田会長は話す。
 2回目の総会までは印刷された議案書や付属書類とタブレット画面を見比べながら審議したが、次回からはタブレットのみとなる。
 現地調査もタブレットを持って内容を確認しながら行う。写真をその場で撮ることもでき、後日、写真を見ながらの相談や対応の協議が可能だ。
 今後は、各委員が離れた場所でも同時に審議できる環境を整備する。合併前の旧市町村単位の3会場に分けて総会を開催するなどし、最終的には自宅でも審議ができるようにしていく予定だ。
 各種研修についても、タブレットにあるズームの機能を利用し、委員各人で研修ができる体制を整えていくという。

総会に入る前に操作方法を再確認

 タブレット端末の導入は次のような効果がある。
 ①情報伝達の迅速化
 委員に資料や通知文を郵送するには2日程度必要だが、資料をアップロードすることですぐに全員に共有できる。
 ②情報の共有
 審議に係る書類は事前に配布しているが、印刷量が多かったため、これまでは担当地区の書類のみを郵送していた。タブレットの導入により、全地区の申請内容を見ることができる。
 ③事務の効率化
 現地確認書類や総会資料を印刷し、各委員に郵送する手間が省け、事務の効率化ができる。
 ④経費の削減
 印刷費や郵送費などが削減できる。
 ⑤セキュリティー対策
 タブレットはセキュリティー対策が取れており、資料の紛失リスクがない。
 ⑥感染対策
 集合した審議とならず、感染対策がとれる。
 同市は農地パトロールでも全国に先駆けてタブレットを導入した実績を持つ。永田会長は、「農業委員会も代に合わせて、ICT化していく必要がある。慣れるには少し時間がかかるが、事務の効率化などの効果は絶大。今後の活動には欠かせない」と語る。今後の活用が期待される。