女性委員の登用推進 県内初 3割を達成 島根・益田市農業委員会

辞令交付式後の集合写真(農業委員16人のうち1人欠席)
前列右から4人目が西川会長。その左隣は河上信男副市長

 益田市は島根県の西部に位置する。南東部を広島県と南西部を山口県に接し山陰と山陽を結ぶ交通の要衝で、その面積は県内最大の733.19平方キロ。複数の河川流域に広がる平野部と中国山地を含む中山間地域からなる。市の三方に連なる中国山地の森林を源とした清流・高津川は2007年から複数回にわたり水質日本一に選ばれている。

 益田市農業委員会(西川友史会長)は、2020年7月に改選が行われ、農業委員16人、農地利用最適化推進委員24人の計40人の新たな体制で活動をスタートした。改選前は3人だった女性農業委員は今回の改選で2人増えて5人となり、新体制下における女性委員の活躍が期待されている。
 国の第5次男女共同参画基本計画では、2025年までに農業委員の中で女性が占める割合を3割以上にすることが目標として掲げられているが、同委員会は県内の農業委員会では初めてこの目標を達成した。
 同委員会では市内全域を16の地区に分け農業委員、推進委員を配置している。両委員は連携して日々の活動の中で得た農地所有者の意向などを地区ごとに取りまとめ、情報を共有。農地集積など農地利用の最適化を進める体制を整備している。
 この他に女性委員独自の活動として、改選前から「農業委員会だより」に地元の農産物を使ったレシピやエッセイなどを掲載。多くの反響が寄せられるなど好評を得ている。

 今回の改選にあたっては、農業会議会長としまね農業委員会女性協議会会長から、県内の市町村と農業委員会に対し「現在女性委員がいる農業委員会はプラス1人登用すること」が要請された。同委員会では、さらに女性委員を増やし今まで以上に活動の幅を広げるため、会長から市やJAに対し、女性の登用促進に向けた依頼を行うなどの働きかけを行った。また、同委員会内でも女性登用について周知を図った。こうした努力が実を結び、同委員会の女性委員は2人増員して5人となった。
 2017年から農業委員となり、女性委員として今回の改選で2期目を迎えた大畑美里委員は、「女性委員の人数が増えたことでお互いに話をする機会が増え、交流につながり、いろいろな情報を共有できるようになった。ま
た、総会の場でも以前よりも発言がしやすくなった。今後は食育や地産地消の取り組みなどについて、今まで以上に情報発信していきたい」と抱負を語った。
 西川会長は、「これまで男性の視点が中心だった農業委員会に女性委員の新たな視点が加わったことで、農業委員会と地域との関わりが広がった。農業委員の仕事は大変な仕事。委員会としても、女性委員が活動をしやすいようにサポートしていきたい」と今後の女性委員の積極的な活躍に期待を寄せている。