地域の話し合い 積極的に参加 福岡・鞍手町農業委員会

地図を見ながらの話し合い(西川地区)

 鞍手町農業委員会(相葉富雄会長)は町農政環境課と連携し、人・農地プランの実質化に向け、農業委員13人が地域の話し合いなどに積極的に参加。同町では、現在の農業委員の任期である今年7月までに実質化したプランを公表する予定で最終調整を進めている。

 同町は福岡県北部、福岡市と北九州市のほぼ中間に位置し、町中央に西川が流れ、米、麦、大豆、ブドウやブロッコリーなどの生産が盛んだ。現在、営農組合を中心とした集落ごとに計14の人・農地プランがあり、そのすべてを実質化するため、町と農業委員会が連携した取り組みを進めている。
 実質化を進めるにあたって、町農政環境課は同委員会に相談。農業委員の意見を参考にアンケートを作成した。内容は、後継者の有無、今後の経営意向や集落の農業を持続可能なものとするためにどうしたらよいかなどだ。
 アンケートは2019年度末から町内の耕作者256人を対象に順次実施。各集落での配布と回収作業は営農組合長を中心に農業委員も加わって行い、回収率は86.7%にのぼった。
 回収後、町農政環境課が回答を集約し、それぞれの集落ごとの状況をまとめた。その結果をもとに、現在と5年後それぞれの耕作者の状況などを地図に落とし込んだ。

地図を持つ相葉会長(中央)
副会長の小長光隆さん
(右)
幸田剛さん
(左)

 話し合いは、町内の14の集落を古月、西川、剣の3地区に分けて、「人・農地プラン地区別座談会」として2020年12月から2021年1月にかけて開催。周知や参加の呼びかけも地元の営農組合長や農業委員が行い、地域の若手農業者や、後継者、新規就農者なども参加した。
 座談会では、事務局の町農政環境課が話し合いの目的やアンケートの集計結果などを説明。また、農地中間管理機構(福岡県農業振興推進機構)の職員も参加し、農地の集積・集約化の取り組みへの支援などについての説明を行った。
 集落ごとの話し合いでは、5色に色分けされた地図を活用。5年後に耕作者が75歳以上となる農地、耕作できない見込みの農地などがわかりやすく示され、参加者が自身の地域の5年後の状況を共有した。その後、それぞれ地元の農業委員が地域の情報を補足するなど話し合いをリードし、課題や将来に向けて方針を話し合った。
 相葉会長は「5年後の集落の状況を共有することで、地域ごとの課題が明確になった。現在バリバリ耕作している高齢農家に引退後の話をするのは難しいが、将来の方針を共有し、意欲ある若手にうまくバトンタッチしていければ」と話す。また、「集落・地域の農業を持続可能なものにしていくため、町と農業委員会、地域が一体となり、プランの実効に向けて一歩一歩課題解決に取り組んでいく」と力強く語った。