身近な相談活動を展開 北海道・北斗市農業委員会

相談者に対応する委員と職員

 北斗市農業委員会(和田勝雄会長)は、2006年から農地に関するさまざまな問題を解決するため、「農地相談日」や「女性のための農地相談会」を設けている。相談者に適切な助言を行うことにより、農業経営の安定につなげることが目的だ。

 同市は2006年に旧大野町と旧上磯町が合併して誕生した。農地相談日は旧大野町が2004年から始めたものを引き継いだ形だ。当時は、住民などが気軽に農地の法律や制度について相談できる場がなかったこと、また、農業委員の資質向上につながると考えたことから、取り組みが始められたという。
 同委員会では毎月1回相談日を設け、当日は市庁舎内で午前9時から午後4時まで受け付ける。午前中は農業委員14人のうちの1人と農地利用最適化推進委員10人のうちの1人に加えて事務局職員が相談に応じ、午後からは職員のみで対応する。
 相談者は新規就農者を含む農業者に加え、農地を相続した人などさまざまで、相談内容によっては委員と職員が現地を訪れる場合もある。
 相談内容は「農地相談カード」に記録し、毎月の農業委員会総会の終了後に開かれる農業委員全員協議会で、実際に対応した委員自らが内容を報告する。
 昨年の相談内容は、農地の貸借や売買、農地の境界、時効取得、所有者が管理できない農地の処分方法、新規就農など多岐にわたった。対応した委員らは司法書士への相談を助言した他、賃借料情報の提供やあっせん申し出制度を紹介するなどした。

「より相談しやすい環境を作りたい」
と話す和田会長

 また、2013年からは毎年1回、女性農業委員らによる「女性のための農地相談会」を開催している。農地に関する女性の悩みを聞いて解決の糸口を見つけることに加え、女性委員の役割を知ってもらうことが目的だ。女性の農業委員と推進委員それぞれ1人が対応している。
 和田会長は「直接顔を合わせることで委員をより身近に感じてほしい。また、農地相談を通じて遊休農地の解消や発生防止、担い手への農地集積率の向上に役立て、地域農業の活性化につなげたい」と話す。
 相談会の実施主体は、農業委員と推進委員で構成される農業委員協議会。
 同委員会では相談を円滑に進めるため2006年に「農地相談事業実施要領」を規定している。要領では相談内容として、管理と活用、売買とあっせん、賃貸借と賃借料、転用、その他農地全般に関わること――を掲げている。
 それぞれの日程などは、市の広報誌や農業委員会だより、地元紙などに掲載して周知を図っている。