担い手に農地集め有効活用 栃木 上三川町農業委員会

 栃木県南部に位置する上三川町は、総土地面積5439ヘクタールのうち2620ヘクタールが耕地で、町の総面積の約半分を農地が占めている。農業経営では米と野菜などの複合経営体が多く、さまざまな農産物が生産されているのが特徴だ。こうした町の農業経営と農地利用を維持するため、農業委員会では担い手への農地利用を推進している。

地域の委員と関係各所で連携し、地図を作製

 上三川町農業委員会(石濱文伯会長)は、2017年7月に新体制に移行。以来、農業委員14人、農地利用最適化推進委員9人により活動を展開している。
 同委員会では早くから農地利用の最適化に向けた活動を開始しており、2018年には農業委員会が主体となり、町内に農地を所有する人を対象に、自身の所有する農地の5年後の利用意向の調査を実施した。未回答者には農業委員・推進委員が戸別訪問し、調査票の回収に努めた。

 その後、委員の話し合いにより、各地域の営農形態などから町内を13地区にエリア分けした。あわせて活動体制を整備し、町農政課と協力して人・農地プランの策定に向けた活動を開始した。
 町農政課では、同委員会で区分した地区ごとに人・農地プラン策定の話し合いを行うため、アンケートの結から、経営を拡大したい農業者(担い手)と縮小したい農業者(出し手)の耕作状況を反映した地図を作製した。
 地域の会合は農業委員と推進委員が参加を呼びかけた。推進委員の進行のもと、作製された地図を見ながら地域の農業者が話し合い、地域の課題を明らかにしたうえで、今後の集約化に向けた方針を決定していった。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により話し合いが実施できない地区では、書面などにより各農業者の意向をとりまとめ、プランの策定を進めた。

地区ごとの話し合い

 この取り組みにより、今年3月には町内全地区のプラン策定が完了した。プランの情報は町のホームページで公開しており、今後はこれに沿った集約化が期待されている。
 同委員会では農地の利用についての相談があった際には、地元の農業委員・推進委員が担い手を探し、利用集積につなげている。今後は策定したプランを実行していくため、このような集積活動に加え、農業委員・推進委員が中心となって話し合いの場を設けるなどして、地域の農地利用を取りまとめていくことが期待されている。
 石濱会長は、「担い手の育成が最も大事。経営の継続が困難な農業者がいた場合には、委員を中心に話し合いの場を設け、担い手が適正な面積で継続していける利用調整を進めたい。各委員にはそのための経験と知識を身につけてもらいたい」と話している。