委員が率先して中間管理事業を活用 静岡・小山町農業委員会

農業委員会の皆さん。左から前田局長、芹澤健太主事、岩田会長

 小山町農業委員会(岩田正治会長)は、農地利用最適化推進指針の作成を機に、農業委員、農地利用最適化推進委員、事務局が一体となった推進体制を構築し、活動を進めている。

 同委員会ではより積極的に集積に取り組むため、2018年に当時の会長や職務代理(現会長)を中心に農地利用最適化推進指針で集積率50%を目標に掲げた(当時の集積率は30.7%)。
 まず、農地集積の基礎となる貸借データが不十分であることに着目し、その原因が相対による農地の貸借にあると考えた。
 そこで各委員が地域の手本となるため、率先して自らの借入農地を農地中間管理事業に切り替えることとし、地権者を回って事業説明と契約作業を行った。事務局もその決意に応えるため、農業共済組合のOBを臨時職員に採用し推進体制を整えた。

利用状況調査をしている様子

 この結果、各委員に農地中間管理事業の理解が深まるとともに、地域の農業者に農地集積の必要性を周知できた。また、農業委員会に対する地域の理解が進み、委員のもとに貸借などのさまざまな情報や要望が寄せられるようになった。
 集めた情報は活動記録により他の委員や事務局と積極的に共有。農地情報の精度や情報量が飛躍的に高められることになった。事務局ではその情報を基にマッチング案を作成し、委員にフィードバックしている。また、委員は担い手への現地紹介や契約押印などを担うなど、積極的に関わる体制を作っていった。こうした取り組みにより、2020年度の同事業による集積は前年約6倍の26.5ヘクタールの成果を上げることができた。

 相乗効果もあった。農地パトロールの事前周知に加え、2018年度の遊休農地の利用意向調査から、委員が戸別訪問で営農指導を合わせて行うようにしたことで、2019年度の遊休農地解消面積は12.0ヘクタールと対前年度比約6倍と飛躍的に増加した。
 これらの地区活動を契機に委員の意識も向上した。委員からの提案により、2020年度には人・農地プランの推進や非農地化手法の検討などを行う「農業最適部会」を創設。また、委員の顔写真と担当地区を掲載した農業委員会だよりを全戸供覧するなど、多方面で活動が活発化していった。
 岩田会長と前田修事務局長は「農家が安心して自信を持って生活できる環境整備をしていきたい。そのための農地利用最適化だ」と息ぴったりに語った。