農地を活かし担い手を応援する 利用集積へ人・農地プラン 徳島・阿南市農業委員会

 徳島県の阿南市農業委員会(萩野敏則会長)は重点的に利用集積を促進するために、農林水産課と連携し、2013年に市内を14地区に分けて、人・農地プランを各地区ごとで作成した。中心経営体への農地集積が進むとともに、新規就農者も増加するなどの成果も出始めた。農地中間管理事業も各地区で説明会を開くなど積極的な対応を進める。

 阿南市は、徳島県東部に位置し、那賀川下流域の広い沖積平野と恵まれた気象条件を生かし、早期水稲を中心に施設野菜やミカン・スダチなどの果樹栽培が盛んだ。
 しかし、全国的に見られる農業従事者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加などの課題が近年、同市でも浮き彫りになってきた。
 そこで、取り組んだのが「人・農地プラン」の活用。まず全農家に対して、アンケート調査を実施するとともに、同プランの周知徹底を図った。
 その後、市内を14地区に分けて、(1)人・農地プランの概要(2)関連施策(3)プランの提出――のテーマごとに各地区で3回の座談会を行った。
 座談会は、各地区の農業委員が参加者を集め、多い地区では会場に入りきれないほどの人数が集まった。制度の説明は農林水産課が行った。
 こうした流れから、同プランの代表者は当時の農業委員が務めた。同プランの公告後は、改めて農業委員を集めて研修会が行われ、その後も年1回は農業委員を集めて、内容の確認を行っている。
 現在、中心経営体は14地区で法人は79社、個人は552経営体が登録されている。地区をまたがる重複登録も含めて、最も法人が多い地区で10社、最も個人の登録が多い地区で157経営体となった。
 農地集積の実績は58ヘクタールとなり、2015年度目標の50ヘクタールを上回った。新規就農者も増え、2012年から2016年までの4年間で22人が新規就農している。
 また、農地中間管理事業の説明会も各地区ごとで行い、コーディネーター役を農業委員会の萩野会長が務め、農家から直接本音を聞き出すなど、現場に出向くことで実情の把握に努めている。
 今後の課題は、地域全体をカバーできる十分な担い手を確保することだ。担い手を増やして行く方策を検討し、市に政策提案していく方針だ。

写真(上)=農地中間管理事業の説明会でコーディネーター役を務める萩野会長(左から2番目)

写真(下)=人・農地プランの座談会。各地区の代表者を農業委員が務める