遊休農地解消で推進委員が活躍 岡山 笠岡市農業委員会 大平貴之推進委員

 笠岡市には農業・工業用地の造成を目的として作られた総面積1811ヘクタールの笠岡湾干拓地がある。1990年に完成した干拓地は市の産業を支える大きな財産だ。干拓地の6割を占める農地の保全と有効利用は、笠岡市農業委員会(北村卓士会長)の重要な課題の一つとなっている。

法人で借り受けて解消予定の遊休農地

 管内農地の大部分を占める干拓地は、整備された大規模な圃場を生かした農業が盛んで、耕作放棄地が他
地域に比べて圧倒的に少ないのが特徴だ。しかし、農業者の高齢化などにより、離農や規模縮小する農家が増えている。
 大規模な農業法人などに農地を集約して効率的な利用を図っているが、容易に集約につながらない場合もある。整備されていても、耕作者がなく荒れてしまっている農地がみられるのが現状だ。
 同委員会の農地利用最適化推進委員である大平貴之さん(45)は、干拓地内で農業を営む法人の代表取締役と土地改良区理事長の三足のわらじを履いている。仕事上、農地に関する相談が日々が入るが、所有者から「自身の農地が管理できない」という相談が寄せられることもある。
 大平さんは遊休農地を見かけた際、まず所有者と直接対面し、「農地の維持管理ができるか」「農地中間管理機構へ登録してみてははどうか」など、本人から状況や意向を把握するようにしている。
 1ヘクタール規模の大きな圃場が大半を占める干拓地だからこそ、一度荒れてしまうと農地の再生は一個人では難しくなる。そのため、耕作の意欲がある所有者がいれば、自社の機械を使って農地の再生作業を手伝う。相談に加えて助力ができるのは地元農業者だからこその強みだ。解消後は適切に農地を使用するなど、管理に責任を持ってもらうようお願いしている。

所有者の耕作意思があったため、
解消作業を支援し原状回復した農地

 所有者が管理できない農地は大平さんの法人で引き受け、解消作業を行って耕作している。大平さんは、「信頼関係が大事。土地というのはたとえ遠方に住んでいても思いはある。所有者も信用している人に貸したいだろう」と話す。
 大平さんはこれまで、干拓地内の遊休農地を、仲介も含め約8.5ヘクタール解消してきた。「笠岡湾干拓地は笠岡の宝であり財産。意欲のある人が積極的に農業ができるよう少しでも手助けができたらと思っている」と語り、今後も笠岡湾干拓地の農業振興を支えていく意欲を示した。