農地を活かし担い手を応援する 地元産米PRへ食味会 大分・豊後大野市農業委員会

 大分県の豊後大野市農業委員会(後藤敏生会長)は、新たな試みとして「米の食味会」を開催。豊後大野市内の各地域の米の味比べを行うとともに、同市の米のおいしさを多くの人に知ってもらい、米の普及につなげていくことにしている。また、同市ふるさとまつりで農業相談コーナーを設け、就農相談や農地相談など幅広い疑問に対応し、地域に密着した取り組みを強化している。

 市農業委員会は、5月の農業委員会定例総会の後、初めての試みとして農業委員による「米の食味会」を開いた。
 農業委員会総会の際に、委員同士の会話の中で「農地法による審査だけでなく、何か地域に密着したことをやりたい」「豊後大野市には、緒方米や綿田米などのように地域の名前がついた米があり、どれもおいしいといわれているが、生産地が違うことでどれくらい味も違うのか食べ比べをしてみたい」という意見が出た。
 これに、他の委員も賛同したことをきっかけに、農業委員会活動の一環として取り組むことになった。
 開催に当たり、(1)7町(同市は旧7町が合併)から各1人の委員が米を提供する(2)外観・香り・粘り・歯ごたえ・味の項目で評価し一番おいしいと感じた米の番号を委員が投票するなどいくつかの要件を設けて実施。どの米も甲乙つけがたいほどおいしく委員も審査に困っていたが、犬飼町の委員から提供された米がわずかな差で第1位になった。
 食味会を行ったことで、「こんなにおいしい豊後大野の米をもっと多くの人たちに知ってもらいたい」という思いが農業委員に生まれた。
 そこで、地域内だけでなく、市外、県外の人々にも豊後大野の米のおいしさを農業委員会から発信していくことにした。現在は、良い宣伝方法を企画している段階で、農業委員会が実施する婚活イベントや、関係機関が実施する就農・移住相談などの機会を捉え、今後県内外に向けて市の農業をアピールし、米の需要拡大だけでなく、就農希望者や市内の居住者にも豊後大野市の米と農業の魅力を伝えていく考えだ。
 市農業委員会はこのほか、市で毎年11月に開かれる「豊後大野市ふるさとまつり」で農業相談コーナーを設け、農業に関するありとあらゆる相談に応じている。
 この取り組みは、地域の農業者や農地を所有している非農家、就農希望者などに、きめ細かな支援・アドバイスをするため、昨年から始めたものだ。昨年は農地の相続や活用方法、就農に関する多くの相談者がコーナーを訪れた。
 また、米の普及と遊休農地解消を呼びかけるため、米のポン菓子と遊休農地解消パンフレットを相談者や来場者に配布し、啓発する活動も併せて行った。
 今年もまつりを11月13日に開くことから、昨年同様に相談コーナーを設けて地域農業への貢献に努めていく。

写真(上)=「米の食味会」で審査する農業委員

写真(下)=「豊後大野市ふるさとまつり」で米の普及と遊休農地解消を訴える農業委員