独自の調査票作成し農地パトロール実施 山口・下関市農業委員会

 下関市は本州最西端に位置し、三方を海に囲まれ、関門海峡を隔てて北九州市に隣接している。2005年には旧下関市、旧豊浦郡4町(菊川町、豊田町、豊浦町、豊北町)が合併。活動範囲が非常に広いため、農業委員会事務局は本局に加え、北部支局を設置している。

農地パトロールで使用する調査ファイル
ファイルをもとに農地パトロール出発前に打ち合わせ

 下関市農業委員会(山田正信会長、農業委員18人、農地利用最適化推進委員40人)では、毎年8月から9月にかけて行う農地パトロールに先立ち、7月に「農地利用最適化推進会議」を開いている。全国農業会議所と県農業会議が作成した農地パトロール実施要領を基に作成した同委員会独自の実施要領により、調査の趣旨や実施する上での留意点などの統一を図っている。同会議は同委員会が新制度に移行して初めて行った18年度の農地パトロールから実施している。
 農地パトロールは農業委員と推進委員が合同で行う。農業委員は担当地域が市内全域となるため、農地転用の際の現地調査の担当地区を割り当てている。
 事務局は事前に市内27区域34地区それぞれの調査票のファイルを人数分作成し、担当する各委員に配布する。ファイルには本年度から追加された新しい調査項目を含む必須項目を並べた独自の調査票や、対象の白地図、航空写真、現況の判定に利用する参考写真、調査の留意点などをつづっている。
 各委員は調査が終わった区域のファイルを順次事務局に提出し、事務局がそれを整理していく。調査は9月までに行うが、今年は、より早く調査結果を整理するため、終わり次第の提出としている。
 中川竜寿北部支局長は「今年の調査から項目も増えたので、現場で調査がしやすいようにいろいろと工夫をしている。また、それぞれのファイルを作成するのは手間も時間もかかるが、事務局と同じものを委員に渡すことで整理の効率化を図っている」と話す。

農地パトロールの様子

 農業委員と推進委員は、毎年10月から11月にかけ、翌年3月末に利用権設定の終期を迎える農地の貸し手と借り手に戸別訪問を行い、今後の意思を確認する取り組みも行っている。
 取り組みを始める18年以前は事務局が該当者に期間満了通知を郵送していたが、より地域に関わるため戸別訪問により行うことにした。
 このように農業委員と推進委員が地域の農業者と顔を合わせることで、現場での活動がより活発になった他、利用権設定期間などの情報を把握しているため、再設定も含めた次の利用権の設定がスムーズで、後継者問題や担い手問題の解決につながりやすくなった。
 山田会長は「遊休農地の発生防止・解消、農地利用の集積・集約化に向け、農業委員と推進委員、事務局が連携を強化しながら取り組んでいる。しかし、依然、取り組むべき課題も多い。今後も良いと思われる手法は積極的に取り入れ、業務改善に取り組んで成果につなげていきたい」と語った。