委員有志が景観作物を植栽 宮城・気仙沼市農業委員会

 気仙沼市農業委員会(横山久一会長)は、農業委員14人と農地利用最適化推進委員13人の体制。今年6月、初めての試みとして、農業委員、推進委員などの有志が地域の環境美化を図るために景観植物を植え、農地の荒廃を防ぐアピール活動を行った。

横山会長と畠山委員(左)

 気仙沼市は典型的な中山間地域にあるため、農地のほとんどが生産条件不利な状態にある。東日本大震災の津波により被災した沿岸部の農地は、農地整備事業などにより重点的に整備が進められてきた。一方、被災を免れた中山間地域は狭小で条件の悪
い農地が多い。過疎化と高齢化も急速に進んでおり、遊休農地も増加。今後の地域農業の衰退が危惧される状況にある。
 そのような中、住宅街と農地が隣接している地区の住民から農作業に関する苦情が寄せられた。将来、耕作者がいなくなり、農地の荒廃化が進むと、雑草などが繁茂して病害虫の発生源になるなど、周辺で耕作する担い手農家のみならず、地域住民へも迷惑をかけることになる。そのようなことにならないよう、農業委員会としても、農業に対する地域住民の理解を得る何らかのアピール活動を行うべきだとの意見が出された。
 提案したのは、農業委員を務める畠山盛信さん。遊休化しそうな農地に景観植物を植えて荒廃を防ぐとともに、地域の環境美化を図れないものかとの思いを持っていた。畠山さんは自治会長も務めており、地域住民の理解を得る一つの方法として、国道45号線の気仙沼バイパス沿道にある「花のみち45」と名付けられた花壇での植栽を行うことにした。

花のみち45に植栽した花々
私たちが植えました

 花壇の植栽や維持管理は、沿線の自治会や学校、市民ボランティアなどが中心となって行っている。畠山さんは花壇に植栽できる空きスペースが出たことを聞きつけ、農業委員会として花壇を確保。農業委員、推進委員などの有志で6月上旬に植栽を行った。
 畠山さんは、「まずは自分たちが景観植物を育てる姿と、その花の美しさをアピールすることから始めた」と振り返る。サルビアなどの色鮮やかな花々は10月頃まで楽しめ、これからはコスモスも華を添える。同委員会では来年も植栽を継続する予定だ。
 横山会長は、「住宅が点在している地域の農地の維持が課題。農業振興をしていくためには、遊休農地の発生防止と解消を図りつつ、圃場整備を行って若い担い手に集積していく必要がある」と話している。