農業者年金の加入推進 農委・推進委主体に全力 千葉・芝山町農業委員会

 芝山町は千葉県北東部に位置する人口7000人程度の小さな町。同町農業委員会(伊藤正明会長)では、事務局と農業委員、農地利用最適化推進委員が連携し、農業者年金の加入目標2件に対し、加入実績は2019年度が7件、20年度は4件と目標の倍以上の実績をあげている。

全国表彰と千葉県表彰の両方を受賞した

 芝山町農業委員会ではこれまで、事務局が主体となった農業者年金の加入推進活動を行ってきたが、なかなか加入実績につながらなかった。そこで新体制への移行をきっかけに、農業委員13人・推進委員7人の委員を主体とした加入推進体制に切り替えた。
 まずは、両委員の研修会を開催。両委員へ戸別訪問の依頼を行った。
 しかし、同町の農業者には旧制度の農業者年金のマイナスイメージが強く、理想的な訪問ができなかった。そこで年度内に複数回研修会を開催したり、進捗状況を定期報告したりするなど、できる限りの推進体制を構築した。
 このような取り組みの結果、各委員には「新制度の農業者年金は農家にとってプラスになる」という認識が高まった。
 現在は期日を設けて、年間1人2件の訪問を依頼しているが、ほとんどの委員が期日より早く訪問を終えている。依頼した以上の訪問を実施している委員もいる。

継続して農家のために動けるかが重要と話す伊藤会長
訪問件数最多の中立委員の松本さん

 これらの取り組みの成果は、19年度の「農業者年金基金理事長賞青年層の部」で全国第3位入賞という形で現れた。また、「加入目標2件・戸別訪問目標件数28件」という目標に対し、19年度は加入実績7件・訪問件数延べ48件、昨年度は加入実績4件・訪問件数延べ50件という継続した実績を得たことから、千葉県農業会議会長賞も受賞した。
 同委員会は全国表彰と千葉県表彰の両方を受賞したが、両方を受賞したケースは県内初の事例となった。
 功労者の一人が中立委員の農業委員である松本光芳さんだ。毎年度、依頼した件数の倍以上の訪問を行っており、「非農家だからこそ、農業者年金は農家にとって良いものだと感じる。事務局がアフターフォローをしてくれるから気軽に訪問ができ、訪
問を通して地域の農家と顔つなぎができた」と語る。
 伊藤会長は「加入推進活動は、委員だけでも事務局だけでもできない。両者がそれぞれの役割を意識し、継続して地域の農家のために動けるかが重要だ。来年度には委員の改選があるが、体制が変わっても地域の農家のために動ける農業委員会を引き継いでいきたい」と熱く語った。