農地情報公開システム積極的に活用 徳島・三好市農業委員会

タブレット研修会の様

 徳島県三好市は、2006年3月に4町2村が合併して誕生した。四国のほぼ中央に位置し、四国4県の市の中で面積は最大で、交通の要衝、県西部の都市として発展してきた。また、山間地域には険しい斜面が多く、同市を含む「にし阿波の傾斜地農耕システム」が世界農業遺産に認定されている。

 三好市農業委員会(曲清春会長)では、農地情報公開システムの活用に県内でいち早く取り組み、地籍調査が終わっていない場所を除いた農地情報のひも付けができている。
 そのため、農地法にかかる案件が上がってきた場合も、農地情報を見れば農地の種別判断が容易に可能となっている。また、本年度は県農業会議の事業で導入したタブレット端末を使用した研修会を実施。小さな文字も拡大することが可能なため、高齢の委員でも文字などが把握しやすくなった。
 農業委員会総会も、試験的に書類とタブレット端末を併用して行っている。しかし、リモートによる開催については、市の大部分は中山間地域であることから電波が入らず活用できないなどの問題がある。そこで、農業委員の青年農業者が代表として、タブレット端末によるリモートで審議に入るなどの使用を試みたり、農業者年金の加入対象者への説明をタブレット端末で行うなどの活用を始めている。

自らの農園で生産・販売している
すだち入り紅茶を手に笑顔の曲会長

 その取り組みもあって、同市の農業者年金の加入目標は毎年1人のところ、コロナ前から目標を上回る加入実績を残している。
 同委員会の曲会長は「農業者年金は政策年金であることから、社会保険料全額控除による節税対策だけでなく、後継者としての自覚を育てることにつながる。今後、私も息子に経営を継承し、息子の経営を助けたい」と語る。
 曲会長はこれまでに加入推進部長も務め、家族全員が農業者年金に加入している。経営面積2ヘクタールの農地でお茶やゼンマイを栽培するかたわら、市町村合併前から農業委員を務め、本年度から会長を務めている。今後は女性登用による地域の盛り上げを重点課題として掲げるという。
 曲会長は、「この小さな農地面積で農業を発展させるには、女性のアイデアが重要になってくる。これまで少なかった女性委員も今年の改選で2人となった。男性、女性のいいところを生かしながら、地域全体で農地を守っていきたい」と語っている。