地域主体で人・農地プランの実質化と実行 山形・朝日町農業委員会

 朝日町農業委員会(鈴木好一会長)では、人・農地プランに係る座談会で、合意形成型話し合い方式であるファシリテーションの手法を取り入れた。地域の農業委員・農地利用最適化推進委員が農業ファシリテーターの認定を取得し、地域の農業者と一緒に主体性を持った取り組みを進めている。

楽しい座談会の雰囲気が事前に伝わるようにチラシを工夫

 朝日町の人・農地プランは三つあり、昨年度中の実質化を目指していた。しかし、コロナ禍に加え、その夏に発生した豪雨災害からの復旧が最優先となったことから座談会が開催できず、実質化の工程を延長せざるを得ない状況となった。
 今年の夏以降、コロナ禍が少しずつ落ち着きを見せてきたところで、同町農林振興課と農業委員会でプランの実質化を進めるにあたり、着目したのがファシリテーションを取り入れた座談会の開催だった。開催の背景には、同町の総合発展計画が町民ワークショップを経て決定されていることや、女性の農業委員と推進委員の2人が県農業会議主催の「農業ファシリテーター養成研修会」に参加し、農業ファシリテーターの認定を受けたことがある。

 農業ファシリテーターは「対話のスキル」と「まちづくりのスキル」を学んでおり、同町ではこのスキルを地域の農業者や住民のアイデアに生かすことで、未来につながる充実したプランにすることができると考え実践に移した。実践にあたっては、話し合いと農村づくりの専門家がいる県農業会議と連携した。
 
同町と農業会議は北部地区に「朝日町北部地区農業の夢・未来づくり部隊」を設置。打ち合わせを重ねて9月16日に第1回の「夢を語る座談会」を開催した。25人の参加があり、「住民の笑顔がこぼれる農泊先進地区を楽しく目指そう」など、多くのアイデアが発表された。

活発な話し合いの様子

 続く第2回の座談会は11月2日に開催。33人の参加があり「同地区における10年後の農地利用」についてアイデアを出し合った。グループで話し合いを円滑に進めるため、それぞれのグループに農業ファシリテーターが加わった。
 そこでは「フルーツグランピングができるキャンプ場を造って、新規就農者用果樹園の圃場整備」や「若い人たちが作業しやすい稲作のスマート農業・圃場拡大・法人化」などといったアイデアが出された。
 今後、同町では同地区のプランの実質化と実行を進める。本年度中に実行のための座談会を農業会議と連携し開催する予定だ。鈴木会長は「プランは農業者が主体となって、地域・関係機関が一体となって取り組むもの。他の地区でも話し合い活動を推進していきたい」と意欲を語る。