農地を活かし担い手を応援する 市長に農家の声届ける 秋田市農業委員会

 秋田市農業委員会(佐々木吉秋会長、農業委員32人)では、農業者らの意見のくみ上げとそれらの意見をとりまとめた市長への意見書を継続的に提出している。地区ごとの意見交換のほか、昨年度からは農業研修生との意見交換も開始。市農業の持続的発展に向け、意見集約と施策反映に努めている。

 同農業委員会では、地域の農業者に対し日常の相談活動や会合、共同作業、さなぶりなどで要望・意見・提案事項の聴き取りを行っている。
 特に、冬季には市内7地区で、各地区担当の農業委員が主催して「いきいき農業専科」と題した地元農業者との意見交換会を開催。2015年度は200人以上の農業者が参加する中で「圃場整備事業の早期採択や法人設立に対する支援をお願いしたい」「地域の高齢化が進んでおり農地中間管理機構を活用した農地集積が急務だ」といった要望が出された。
 秋田市では、市内での就農希望者を対象に2年間の農業研修を2015年度から独自に実施。研修生は市で運営する「園芸振興センター」で野菜や花きの栽培を学んでいる。
 同農業委員会では、意見のくみ上げと新規就農者の定着に向けたフォローアップのため、研修生との意見交換にも取り組んでいる。
 事前に研修生から就農希望地や問題などについてアンケート調査を実施。「農家レストランを開設したいが、資金面や栽培品目などで悩んでいる」「居住地の近隣で花きの施設栽培を行いたいが適地はあるか」などの声を受け、該当する地区担当の農業委員が地域の実情や技術面などをアドバイスする。
 こうして得られた意見や要望は、総会で協議して取りまとめ、市長への意見書として提出している。
 昨年度は、2016年度の施策について「市農業の持続的な発展を図るため、認定農業者や農地所有適格法人、集落営農組織など地域農業をけん引する強い経営体の確保・育成や生産基盤の整備、収益性の高い園芸作物などへの生産構造の転換を早急に図る必要がある」といった意見をまとめた。
 提出した意見は、2016年3月に秋田市で策定された「第5次秋田市農林水産業・農村振興基本計画」に盛り込まれている。
 佐々木会長は「農業者が経営意欲を持ち、地域の課題を解決するため、これからも話し合いの機会をつくる活動は継続的に行う。そこで出された意見や要望をしっかりと受け止め、委員会活動や意見提出につなげることが重要だ」と語る。

写真(上)=農業研修生との意見交換には事前にアンケートをして臨んだ

写真(中)=地元農業者との意見交換会「いきいき農業専科」には200人以上が集まった

写真(下)=穂積志市長(右)に佐々木会長から意見書を手渡した(2015年9月)