新規就農者の確保・担い手対策に力点 高知・南国市農業委員会

 南国市農業委員会(武市憲雄会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員17人)は、将来の担い手に農業の魅力を伝える活動や情報発信などを積極的に行い、新規就農者の確保や担い手対策に力を入れている。

農業大学校で説明する武市会長(左)と鈴木部会長

 同委員会は新規就農者や担い手への支援などを行う「担い手対策部会」、全国農業新聞や農業者年金の普及推進活動を行う「事業推進部会」、農業委員会だよりを発行する「広報部会」を設置。委員らはいずれかの部会に所属している。
 担い手対策部会(鈴木郁馬部会長)では、「担い手を確保していくためには受け身ではなく、積極的な働きかけが必要」と、県立農業大学校の「新規就農者向け制度・施策に関する説明会」に2020年から参加し、学生に農業の魅力を伝える取り組みを始めた。
 説明会では、学生の記憶に残りやすくなるとの思いから、農業者である部会員自らが就農した経緯や農業の魅力を話した。参加した学生からは「農業者の生の声が聞けて良い刺激を受けた」「普段はあまり聞くことができない内容が聞けて良かった」との感想があった。
 また、市の農業や魅力などを広く伝えようと、「高知県新規就農相談センター」のホームページを活用して情報発信を始めた。同ホームページには就農に関する情報に加え、就農の具体的なイメージをもってもらうため、各市町村が産地の農作業の様子や新規就農者を紹介する投稿コーナーが設けられている。
 農業委員や推進委員がタブレットなどを通じて、このコーナーで県内1位の出荷量を誇るシシトウなどを紹介。就農希望者に同市農業の魅力を発信している。

若手農業者との座談会

 同委員会は今年2月、「いっしょに考えましょう、10年後の農業」をテーマに、若手農業者との座談会を開いた。
 同市で現在進められている国営圃場整備事業(2029年完了予定)完成後の農地利用や将来の農業のあり方について「若い担い手農家の意見を聞く必要がある」との意見が出たためだ。
 座談会はグループワーク形式で開催。参加者から現在困っていることや農業を続けていくために必要なことについて意見を出してもらった。出された意見は今後の農地利用の最適化に向けた活動に役立てていく方針だ。
 同委員会は将来の担い手の確保に向けた掘り起こし活動を継続的に実施していく予定だ。武市会長は「南国市の将来の農業のため、こうした活動を定期的に行っていきたい」と意欲を語った。