地域の話し合いから意見の提出へ 沖縄 北中城村農業委員会

沖縄本島の中部地区に位置する北中城村(きたなかぐすくそん)は、都市化が著しい小さな村。農業では担い手不足や高齢化、耕作放棄地の増加などへの対策が急務であり、農業委員会は担い手への農地の集約化に向けた人・農地プランの実質化などに取り組んでいる。

ワークショップ方式で地域の話し合い

 北中城村農業委員会(玉城卓会長、農業委員6人、農地利用最適化推進委員3人)は、農林水産課と連携し、人・農地プランの実質化に取り組んでいる。委員の戸別訪問による営農意向調査に加え、農家が集まる「さとうきび生産者圃場植付調査」の会場に農林水産課職員が出向いて「年齢」「農地の営農状況」「農地の利用意向」「後継者の有無」などのアンケートを実施した。
 アンケートの結果を踏まえ、人・農地問題解決加速化支援事業を活用して年齢階層別および後継者の有無を色分けした地図を作成。地図を基に、各地域で現状や10年後の農地利用の在り方をワークショップ方式で話し合った。委員は各グループに入って情報提供や進行を行い、発言しやすい雰囲気を作り上げた。付箋を使って意見出しを行うことで若い農業者からも自由な意見を引き出すことができた。話し合いで出た意見は集約して、農業委員会法第38条に基づき、意見の提出を村長に手渡した。
 同村では、農業委員会の組織強化を図るため、年に1回、農業委員・推進委員と村長との面談を設けている。本年度は現場からの要望を踏まえ、都市化に伴って農道などへのゴミの不法投棄が増えていることについて、村長による農業者との意見交換会への参加や圃場巡回の実施などを要請した。

現地確認のための看板を設置(右が玉城会長、左が事務局の外間正史さん)

 同委員会では、総会2週間前に事務局が議案書を農業委員と推進委員に送付。従来は総会当日に全員で現地確認を行っていたが、現在は事前に現地を委員各自が確認している。当該の農地には、事前に事務局が目印として看板(農地法3条、4条、5条)を設置している。
 全員で時間を合わせて行うより、空き時間で回った方が自分で考える時間が増やせる。そのため、総会時間を短縮することができた。また、看板の設置は目印となる以外にも農業委員会活動の見える化や違反転用防止にもつながった。
 玉城会長は、「村全体が都市計画区域に指定されていて交通の利便性が良い。遊休農地の解消と担い手への集積・集約化のため、村外からの担い手が参入しやすい環境整備をしていきたい」と話している。