担い手への農地集積・集約化に力  茨城 筑西市農業委員会

 茨城県の筑西(ちくせい)市農業委員会(水柿重壽会長)は、担い手への農地の集積・集約化を進めるために地権者などを対象に5年~10年後の農地利用の意向を把握する「農地利用の実態調査」を実施。この結果を基に各委員が貸し付け意向のある農家と規模拡大を希望する担い手とのマッチング活動を行っている。

農地状況図を囲んでの話し合い
田宿・宮後地区の農地状況図

 同市は、筑波山(つくばさん)の西側に位置し、平たんで広大な農地と豊かな土壌・水利に恵まれ、米や野菜など農業が盛んな地域。同市農業委員会(農業委員24人、農地利用最適化推進委員20人)は、担い手への農地の集積・集約化に取り組んでおり、担い手に対する農地集積の割合が60%(2021年度)を超える。また基盤整備事業が実施され、大区画化による農地の効率的利用が進んでいる。
 同市内の「田宿(たじゅく)・宮後(みやご)地区」でも基盤整備が進み、7人の担い手からは、農地集積を図りたいという要望が上がっていた。農地集積を図るには、地区でも信頼のある担い手自らが地権者へ直接働きかけ、安心して貸借に応じてもらうよう取り組んだ。
 担い手の一人であり、推進委員も務める渡辺一さん。米・麦・大豆を生産する専業農家だ。同地区を担当する柴洋推進委員とともに茨城県農地中間管理機構や農業委員などの協力を得ながら、担い手への説明会や地権者への戸別訪問を実施。
 地権者への戸別訪問では、渡辺さんら担い手が「農地の貸借を進めて集積を図っていきたい。農地は農地中間管理機構へ預けるので機構から賃借料が支払われ安心」と説明した。

渡辺一さん

 こうした地道な活動により、21年10月には、同地区の農地面積119㌶のうち約48・3㌶が機構に貸し付けられ、さらにその約20%の農地が新たに担い手へ集積される見込みが立った。
 担い手からは「機構へ農地をまとめて貸し付けて、農地集積に協力した地域に交付される地域集積協力金を活用し、集積を進めよう」という声が高まり、今回の集積につながった。
 「われわれ、担い手が地権者に直接説明し、理解を得られたことでスムーズに貸借が進んだ」と渡辺さん。「人間関係がいかに重要か今回改めて感じた」と話す。
 集積活動を進めていく中で、「相続未登記農地が多く、協力金の対象とならない農地が20%程度あったこと。この問題がクリアできれば集積・集約化はさらに進んだはず」と渡辺さんは語る。
 水柿会長は、「農地利用の最適化を推進するため、農地所有者の意向把握や規模拡大を志向する担い手とのマッチング活動を通して農地集積を図り、筑西市の農業振興にあたっていきたい」と話した。