栃木市農業委員会 農地審査や調査の現場活動、食農教育 女性農委6人が「見える化」へ活躍

男女共同参画があらゆる分野で推進される中、栃木市農業委員会(大塚幸八(おおつかこうはち)会長)は6人の女性農業委員が率先して農地利用の最適化をはじめとした委員会活動に汗を流している。農地制度の審査や農地利用状況調査などの現場活動とともに小学生を対象にした食農教育にも積極的に取り組み、農業委員会活動の「見える化」につなげている。

同市は2014年まで断続的に隣接する町を合併し、結果1市5町からなる現在の市が誕生した。このため同委員会は農業委員25人、農地利用最適化推進委員39人を有する全国平均よりは規模の大きい農業委員会だ。
 現在、最も重点を置いた取り組みは「人・農地プラン」の策定に向けた活動。とりわけ市町村合併を踏まえた地区ごとの農業実態と今後の営農に関する農業者の意向把握が重要となっている。
 また担い手の確保に向けた活動としては、同委員会に新規就農希望の相談や農地取得の相談が寄せられた際、条件にあった貸し手がいるか委員が確認するなど、担い手と貸し手のマッチングに取り組んでいる。
 一方で高齢化により貸し出しを希望する農地が増加し、農地の受け手である担い手の意向とそぐわない場合や条件不利地域の遊休化が課題であり、将来に向けた担い手不足が危惧されている。
 こうした課題解決に向けて、6人の女性農業委員で構成される「なでしこ委員会」は、女性農業者の活躍推進や将来的な担い手確保に向けた活動を展開してきた。今年5月には都賀町(つがまち)の赤津(あかづ)小学校で児童に栃木県を代表する作物であるイチゴについて知ってもらおうと体験授業を開いた。栽培の流れをわかりやすいよう紙芝居を用いて説明するとともに、実際の作業を見学・体験してもらい、県産のイチゴを身近に感じてもらうため労をいとわず取り組んだ。
 また、農業委員を対象に家族経営協定研修会を実施。県女性農業士会が作成した朗読劇を通じて啓発をし、全農業委員が家族経営協定を締結する成果を生んだ。

活動内容の報告

同委員会は、今年7月に農業委員・推進委員の改選を迎える。これまでの女性農業委員の活動や実績を踏まえると継続的な女性委員の選任は不可欠だ。
 このため女性農業者の委員登用に向けた活動も展開。一つは昨年9月に実施した「女性農業委員・女性農地利用最適化推進委員の選任等に関する意見交換」。市農業委員はとちぎ女性農業委員の会の興野礼子(きょうのれいこ)会長と女性農業委員の登用について、現状の選任や女性委員の活躍などについて意見を交わした。12月には、JA女性会や県女性農業士会に所属している市内女性農業者を対象に「アグリ女子交流会」を開いた。外部からではわかりにくい農業委員会の活動を知ってもらおうと、なでしこ委員会の活動を説明し、「あなたも農業委員に」と呼びかけた。今後のさらなる活躍が期待される。

昨年12月に開催された交流会の話し合い