青森 中泊町農業委員会 農地利用最適化で大きな成果 農地利用集積率は84%

 中泊町(なかどまりまち)は津軽半島の中央部に位置し、農林業を主とする農業地域。水田が耕地の大部分を占める中、同町農業委員会(松坂龍美(まつさかたつみ)会長)は、農地利用最適化活動で県内有数の成果を上げている。①担い手への農地の利用集積・集約化②遊休農地の発生防止・解消③新規就農の促進、それぞれの取り組みを紹介する。

 同委員会は、これまでも担い手への農地の利用集積・集約化を推進してきた。担い手への農地利用集積率は70%を超えていて、しかも遊休農地率1%以下である。このため農業委員会法で定められる「農地利用最適化推進委員を設置しない特例」に該当し、農業委員15人で最適化業務に取り組んでいる。
 近年では県内トップの実績だ。農業委員が認定農業者や大規模農業法人などの担い手に農地中間管理事業の利用を推進。「人・農地プラン」に位置づけられた中心経営体にも話し合いの場などで農地の利用集積・集約化を推進した結果、2020年度の農地中間管理事業活用実績は169㌶となった。さらに同委員会が行った農地利用のあっせん件数は191件と、いずれも県内で最も高い実績となった。担い手からの要望を踏まえた農地中間管理機構関連農地整備事業は159.5㌶に上る。とりわけ同事業では共有者不明農地などに係る公示手続きを年間13回も実施。このことも農地の利用集積・集約化に大きく貢献した。
 20年度に127㌶を新規集積したことで、同町耕地面積3680㌶のうち担い手への農地利用集積面積は3091㌶、集積率83.9%までになった。

毎年7月と9月に農地パトロールを実施

 遊休農地の発生防止・解消にも積極的に取り組んでいる。毎年7月と9月に、農地パトロールを実施。町を四つの地区に分け、農業委員を担当地区に配置し、町農政課と連携して農地パトロールにあたる。タブレット端末を活用して正確な位置を確認し、現況などの情報を入力するなど効率的な作業に努めている。農地パトロール前に推進会議を行い、趣旨や方法、現場での判断など、全員の共通認識を醸成した上で実施している。
 農地パトロール終了後は、報告・検討会を開催。遊休農地の現状と課題を整理するとともに、非農地化の事務手続きなどの協議も行った。管内の遊休農地率は1%以下と、遊休農地の解消でも大きな成果を収めた。

 新規就農・担い手対策では、農地のあっせん台帳を整備し、新規就農者へ随時、農地情報の提供や相談対応を行い、町農政課と連携して、積極的に農地中間管理事業の活用を推進している。
 また同委員会が事務局を担当する「中泊町認定農業者の会」では、会員に対して視察研修などの活動を通して、栽培や経営に関する相互研さん活動を行い、担い手の育成や確保を積極的に進めている。