農委活動の道しるべ(28) 3.新・全国運動の推進 (14)認定農業者や集落営農などの掘り起こし

 地域の農業をとりまく環境は、農家の高齢化、担い手・後継者不足など、依然として厳しい状況が続いている。地域農業を維持・発展させていくには、認定農業者をはじめとした意欲と能力のある担い手の育成を図り、集落営農の組織化・法人化など、今後の農業を担う人材の育成・確保に向けた活動を促進していくことが「鍵」となる。
 その一つが、「人・農地プラン」の作成・見直しを通じた認定農業者の掘り起こしだ。同プランの中心的経営体を認定農業者として申請することで、多くの支援措置などのメリットを受けることができ、経営の安定を図ることにもつながる。
 中心的経営体は、今後の地域農業を主体的に担う農業者として、地域が認めた者であり、地域全体で支えていくことが重要だ。
 また、同プランでは、農地集積のプロセスが明確になるため、中心的経営体への農地集積が円滑に進むことが考えられる。そのため、認定農業者の経営発展にとっても、中心的経営体に位置づけられることは大きなメリットとなる。
 一方、担い手が不足している地域では、集落営農の組織化や法人化に向けた地域の合意形成を推進していくべきだ。その中で、地域の中心的経営体として、効率的・安定的な経営をしていくには、成熟度の高い法人形態へ移行していくことが期待される。
 二つ目としては、新規参入の促進がある。これは、まさに人口減少に悩む地域に人を呼び込むことにもつながり、「地方創生」の農業からのアプローチともいえる。具体的には、関係機関・団体と連携し、参入後の経営確立に向けた支援体制の整備が求められる。農地のあっせんについては、地区を担当する農地利用最適化推進委員と農業委員の現地見学会や相談会を実施するなど、農業経営の継続性と農地の有効活用の観点から丁寧な対応が重要となる。
 こうした地域農業構造の改革は、地域・集落での話し合いや合意形成活動が基本となる。その意味で地域の農業者の代表としての農業委員のリーダーシップの発揮が期待されるところだ。