新生農委 農地の利用集積推進へ 協定を締結 岐阜県

 農地中間管理事業を活用した農地の利用集積の推進が大きな農政課題となっており、全国農業会議所では、農業委員会の農地利用最適化の業務推進を支援するため、各県の農業会議と農地中間管理機構との連携体制の強化に取り組んでいる。
 全国各地で農地中間管理機構と担い手組織などとの連携協定の締結が進む中、岐阜県の農地中間管理機構(県農畜産公社)と農業委員会ネットワーク機構(県農業会議)は10月19日、四つの担い手農業者組織との間で事業推進の連携協定を締結した=写真。県農業会議が入った協定締結は全国初。公社は、農業会議との情報共有を通じて、これまで以上に農業委員会が現場での合意形成をリードすることを期待する。
 連携協定は、公社、農業会議、県農業法人協会、県稲作経営者会議、同会議青年部、県農業参入法人連絡協議会で結んだ。県と東海農政局が立ち会った。6組織が協力して認定農業者など担い手に事業の活用を促し、経営の規模拡大や農地の集積・集約化、農外からの新規参入を推し進めることが目的。6組織代表が入る事業推進協議会の場で情報共有・意見交換を進める。
 締結式であいさつした公社の平工孝義理事長は「農業委員会が必須業務として農地利用の最適化に取り組むことになり、今後は農業会議との連携を強化することが重要」と述べた。
 協定には、役割分担も明記。農業会議は、農業委員会が地域の担い手や農地所有者と協議・協力するように働きかけ、人・農地プランの作成・見直しでは、農地利用最適化推進委員を中心にして農業委員会が地域農業の在り方の合意形成に積極的に関与するよう促す。
 公社と農業会議は4月1日、ワンフロア化を実施している。農業会議の鷲見郁雄会長は「農業委員会と地域、市町村の連携をより一層徹底したい。研修会などさまざまな機会を使って呼びかけていく」と話す。
 昨年度、同県の中間管理事業の実績は大きく前進した。2758ヘクタールを借り受け、その99%超を担い手などに転貸。耕地面積に対する貸付面積の割合は全国2位。新規集積面積は507ヘクタールで、過去2年間の集積面積の実績評価は全国7位だ。
 しかし、集積が進む平場に対して中山間地域の集積は難航。畦畔が大きく、一区画が小さい農地が多いなど利用条件の悪さもあり、受け手不足が深刻だ。事業を担当する公社の櫛田弘幸農地部長は「中山間での受け手の確保や新規集積を増やすには、現場での合意形成をこれまで以上にサポートする必要がある。現場を最も知る農業委員会に地域のコーディネート役を担ってほしい」と期待する。
 農水省経営局農地政策課の栗原秀忠課長は「今回の連携協定の締結を機に、農業委員会による地域の話し合いの促進と農地中間管理機構の活用が一層進むことを期待している」と話す。