山口 岩国市農業委員会 新規就農者らと意見交換 地域巡回調査で聞き取り

 岩国(いわくに)市は2006年、8市町村に及ぶ広域な新設合併により誕生した。それぞれの地形や気候を生かした特色のある農業が行われており、レンコン、トマト、ワサビなどが特産品だ。県内第2位の広大な面積を有する同市において、地域の課題などにくまなく対応するため、農業委員19人、農地利用最適化推進委員50人が日々各地で汗を流す。

 梅川仁樹(うめかわひとき)会長(59)は、同市農業委員会の活動について「日々の農業委員会活動で広くアンテナを張って得られたさまざまな情報を各委員が持っておいてほしい。そしてその都度迅速かつ的確な支援をしていけるように常に準備しておくことが大切」と各委員の地域での幅広い活動に期待する。
 20年度から新たな取り組みとして年に3回程度、市内の新規就農者や若手農業者などとの意見交換会を行っている。岩国地域農業普及改良協議会との共催で、農業委員会総会終了後に開催する。
 毎回1人ずつ農業者を招く意見交換会は、初めに農業者から自身の経営概要、就農の経緯や当時の悩みや問題点のほか、その経験を踏まえて新規就農に向けての必要な支援・要望などの話があり、その後意見交換が実施される。
 参加した委員からは営農に関するアドバイスをはじめ、地域での生活全般についての助言も行われる。参加した新規就農者などからは「自分が就農した当時の悩みや課題などの経験を伝えることができた。新規就農した人がどういった悩みを持っているのかなどを把握してもらい、次に就農する人たちに生かしてもらいたい」といった声が上がる。

梅川会長
新規就農者との意見交換会
地域巡回調査

 同委員会は年に数回、地域巡回調査を行っている。総会後に農業委員、推進委員が担当地域に出向き、地域の農業法人など、担い手への聞き取りや作付けの実態を調査する。本年度は7地区で実施予定だが、同調査を農業委員、推進委員が一緒に巡回することで情報の共有にもつながる。特に推進委員は、後継者の有無をはじめ、その地域の実情を細かく把握していることが多く、より具体的な情報を共有できる機会だ。
 これら二つの取り組みを基本として、地元の農業者や新規就農者、新規就農を志す者への迅速かつ的確な支援を行うための情報把握ができている。また、農業委員会活動により収集した現場の情報や農業者からの要望を踏まえ、3年に一度市長へ意見の提出を行っている。この意見書を農業振興策として具体的に市の施策に反映させるべく、商工振興課や広報戦略課など、農業分野に限らず幅広い関係部署との協議・連携を重ねている。

 新規就農の課題である空き家情報は、中山間地域振興課と連携して、情報を共有。農地付きの空き家をはじめ、案件があれば互いに相談して対応している。また、今月は農林振興課などと「岩国地域農林水産業就業・移住相談会」を開催するなど、市全体として新規就農・移住対策に取り組んでいる。