総会はじめ事前確認や現場活動などタブレット端末フル活用へ 熊本・天草市農業委員会

 国による農業委員会活動へのタブレット導入が推進される中、天草(あまくさ)市農業委員会(本田実(ほんだみのる)会長)は総会での活用を皮切りに本年度は委員全員にタブレットを導入する。広域な同市において、時代に応じた農地利用の最適化に取り組むとともに目標地図の素案作成に向けて動き出した。

 天草市農業委員会は、同市が全庁的に貸し出すタブレット端末を活用して、総会の審議に役立てている。クラウドに保存した、申請などに係る書類や現地の写真を各端末で共有。委員が、タブレットの画面を操作して案件を確認し効率化を図っている。導入によりペーパーレス化も実現。総会資料の印刷や廃棄など事務負担の軽減と、紙やインク代などのコスト削減につなげた。
 タブレットの活用範囲を広げるために電子化や操作に詳しい職員1人を増員。総会時には都度サポートする体制を整えた。導入当初は、タブレットの操作に不慣れな委員もいたが、現在は、農業委員の全員が操作できる。本年度、国の予算を活用して農業委員と農地利用最適化推進委員の47人全員のタブレットを導入する。通信体制を整え、月次報告や総会前の申請案件の事前確認、GPSを活用した農地利用状況調査での位置確認などに期待する。
 本田会長は「農業も他産業と同様にIT化を進め、時代の流れに沿った取り組みが必要。委員の現場活動に、タブレットをフルに活用していきたい」と力を込める。

タブレットを操作して総会の資料を確認する本田会長(右端)
非農地判断の現地調査。右から本田会長、事務局職員、山下政治推進委員

 2市8町が合併した天草市の面積は、約683平方㌔と県内でも最大で、委員1人当たりの担当区域は広域にわたる。農業委員と推進委員は、月6日以上の活動を目標に掲げ、農地の集積・集約化をはじめ、遊休農地の解消や新規参入の促進などに取り組む。
 海に囲まれた天草諸島の島々は山林が多く、農地は、希少な平野部や一筆一筆が小さい中山間地域に点在。高齢化などによる離農で条件不利地の遊休化や荒廃化が目立ち、地理的条件の悪い中山間地域では非農地判断も進めている。
 コロナ禍以降、市内の果樹産地の地域では、IUターンの新規就農者が増えている。同市は遊休農地の発生防止に加え、新規就農支援などを目的とした「新規就農サポートセンター」を設置。就農希望者の研修や就農準備を支援している。委員は、身近な地域の先輩農家として新規就農者に寄り添う。
 農業委員会は、今後も優良農地の確保と有効利用を図るために、中心的な担い手である認定農業者や新規就農者などに農地の集約・集積を進め、農地利用の最適化の実現に向け加速的に取り組んでいく。