農業委員会サポートシステムをフル活用 山形 南陽市農業委員会

山形県の南東部に位置する南陽(なんよう)市は、水稲を基幹作物として果樹(主にブドウやサクランボ)・畜産・野菜などを組み合わせた複合経営が盛んに行われている。同市農業委員会(髙橋善一(たかはしぜんいち)会長)は、農業委員会サポートシステムをフル活用し、日常業務に生かすとともに、目標地図の素案作成に向けての課題に取り組んでいる。

同システムは、従来の農地情報公開システムから改称され、農業委員会事務局などで登録・更新する農地台帳の情報が、農林水産省の管理・運営するeMAFF(イーマフ)農地ナビに反映される仕組みとなっている。今後、さまざまな機能が増えることにより有効活用が期待されている。一方で、各市町村にはこれまで活用してきた既存の農地台帳システムがあり、同システムへの円滑な移行が課題となっている。
 そのような中、同委員会は、県内でもいち早く同システムを業務に活用している。2017年までは市独自システムを使用していたが、農地中間管理事業に対応していなかったことや農地情報公開システムが始動したことをきっかけに、システムを切り替えることを決定。後押しとなったのは「地図の公表では、最新の情報を届けたい」「農家自身が農地の確認に使ってほしい」という事務局の強い思いだった。
 現在では、窓口での農地相談対応の際、相談者と一緒に地図を見ながら素早くわかりやすい対応が可能となった。また、意向把握や農地パトロールの情報も同システムに反映。今後の利用意向や後継者の有無など、項目別の地図が作成できる。タブレット端末の導入を控え、事務局で現地調査アプリを試行。操作性は問題なく、農業委員・農地利用最適化推進委員による効率的な業務推進が期待されている。

窓口での農地相談対応の様子。「わかりやすいね」と相談者の話も弾む。個人情報は表示されないよう注意を払っている
意向調査が反映された地図をベースに、目標地図の素案を作成していく

 目標地図の素案作成では、ベースとなる現況地図の作成が課題だ。とりわけ高齢化が進展する中で耕作者情報をいかに正確に把握できるか、が重要となっている。
 また、全国的に同システムへの移行が進んでいるが、さらなる利用促進のためには、タブレット端末の導入が大きな契機になると見込まれる。
 同システムを担当している嶋貫信一郎(しまぬきしんいち)係長は「業務に対してシステムをどのように利用するのか、まずは使ってみることが重要。これからも可能性を探りながら、このシステムを使って農家の頼りになるサポートを行っていきたい」と語る。