都市農業の持続的な発展へ 来年4月、神奈川県農業会議が農業公社と合併

一般社団法人神奈川県農業会議は、9月21日に開催された理事会で公益社団法人神奈川県農業公社との統合に関する合併契約書について審議し、出席理事全員の賛成により承認された。(組織イメージ図参照)

 同県農業は、担い手の規模拡大による経営安定化や新規就農の促進を図ることが喫緊の課題だ。
 両組織が合併することにより、農地の集積や経営相談など、業務が一元的に取り組めることや両組織による相乗効果の発揮、さらには農業団体としての経営基盤の強化が図られる。
 これらを踏まえ、都市農業の持続的な発展に寄与することを目的として、公益社団法人神奈川県農業公社と一般社団法人神奈川県農業会議を統合するため合併契約書を締結した。
 主な内容は、①農業公社が農地中間管理機構の特例事業として行ってきた農地売買について、売り渡し者の譲渡所得にかかわる特別控除が認められる農業公社を吸収合併存続法人とし、農業会議を吸収合併消滅法人とすること②合併の効力発生日は、23年4月1日とすること③農業公社が、農業会議の一切の資産、負債および権利義務を効力発生日に承継すること④農業公社は、農業会議の全職員を引き続き雇用すること⑤合併後の名称は、「公益社団法人神奈川県農業会議」とすること⑥合併契約は、行政庁が認定しなかった場合は無効とすること、などが定められている。
 一方、農業公社は9月21日開催の理事会で、同契約書について出席理事全員の賛成で承認した。
 今後は、12月に予定している両組織の臨時総会で会員の承認を得て、正式決定の予定だ。

 同合併の発端は、2021年1月に、同県農地課長を座長として、両組織の幹部職員を交えた「農業会議・農業公社の今後のあり方検討会」が設置されたことによる。その趣旨は、昨今の厳しさを増す同県の農業情勢や国の施策動向を踏まえ、農地バンクである農業公社と農業委員会組織の農業会議がより一層密接に連携して、事業の円滑な推進とさらなる成果を上げていくための体制づくりを検討するもの。
 農業現場の実情を踏まえ、長期的な視点で今後の推進体制のあり方について議論を開始。今年3月までに8回の開催を数え、最終報告書が取りまとめられた。同報告書には、統合への方向性が示され、合併に向けて大きな契機となった。同報告書とともに、折からの農業経営基盤強化促進法等の一部改正も背景にして、農業会議では数度の理事会および常設審議委員会で合併に関して議論。併せて市町村や農業団体への説明を行いながら、「基本方針」を策定した。