女性の委員登用に意欲 愛媛 大洲市農業委員会

 第5次男女共同参画基本計画(2020年12月閣議決定)は、全農業委員に占める女性の割合について、25年度までに30%をめざす目標を示した。来年度には多くの農業委員会が改選期を迎え、女性委員の登用促進が期待される中、大洲(おおず)市農業委員会(幸野登吉(こうののりよし)会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員20人)は、女性の農業委員登用を意欲的に取り組んでいる。

同市農業委員会では、16年の農業委員会法の改正以前から女性登用の意識が高く、議会からの推薦4人は全て女性が占めていた。法改正後初めての改選では、「旧選挙区の5地区から少なくとも1人は女性委員が確保されるようにしよう」と農業委員会で確認し、各地区内の自治会に積極的に働きかけを行ってきた。こうした取り組みにより6人の女性委員が登用された。今期においても6人(農業委員、農地利用最適化推進委員とも3人ずつ)が登用されており、農業委員、推進委員ともに女性の登用率が15%を占めるのは、県内でも同市のみだ。

 幸野会長は、「女性の雑談力や聞く力はすごい」と驚きをあらわにする。「農業委員、推進委員は地域の相談役でもあるが、やはり男性だと堅い話になることも。その点、女性は日頃の何気ないコミュニケーションから、新規就農者や地域の担い手たちの〝ちょっとした困りごと〟を聞くことがあり、農地のマッチングなどにつながることもある」と話す。
 また、女性が複数いることで、会議全体が和やかになり、誰もが発言しやすい環境になっているという。女性同士の気軽なおしゃべりが、肩肘を張らず、意見を出し合える雰囲気づくりにつながっており、定例総会や運営委員会では女性委員からも積極的に発言が行われている。

幸野会長と女性委員の皆さん
女性ならではの多彩な意見が活発に交わされる大洲市と内子町(うちこちょう)の女性委員を中心とした「大洲・内子いきいきネットワーク」

 来年7月には3期目の改選を控える中、事務局職員は自治会長などに推薦依頼と女性登用促進について依頼を進める。一方で、現在の委員には一人一人と面談を実施。女性登用について説明するほか、委員会活動を通じて感じた問題や課題のヒアリング、委員継続の意向確認を行った。特に、女性委員が退任を希望する場合、後任候補の情報提供を依頼するなど、女性委員確保に向けた働きかけを行っている。
 久保正人(くぼまさと)事務局長は「まずは、農業委員会がこれまで以上に女性委員を増やしていこうとする熱意を現職委員や自治会長、担当職員に伝えていかないと、女性委員数を維持していくことも、増加させていくことも困難だと思う」と話す。
 幸野会長は「女性が多数在籍している方が女性も入ってきやすいと思う。6人の女性委員数は堅持しつつ、さらに女性が参画しやすい組織にしたい」と女性登用促進への意気込みを話す。