農地利用最適化へ話し合い活動に力 鹿児島 和泊町農業委員会

 九州最南端に位置する鹿児島県は多くの離島を有しており、人が住んでいる離島が28という全国有数の離島県。その中の一つ、鹿児島市の南南西540kmに浮かぶ沖永良部島(おきのえらぶじま)の東北部に位置する和泊町(わどまりちょう)は、温暖な気候を活かした花卉(かき)栽培が盛んな町として知られ、県内有数の農業生産額を誇る。同町農業委員会の委員たちも農地利用最適化の取り組みに汗を流す。

 同町農業委員会(野村栄治(のむらえいじ)会長)は、農業委員14人、農地利用最適化推進委員10人、計24人がそれぞれの担当地区で、農地利用の意向確認を戸別訪問などを通して積極的に取り組んでいる。こうして得られた結果は、担い手への農地集積・集約化につなげるよう力を入れている。
 一方で、円滑な担い手への農地集積・集約化を推進するには、集落における話し合い活動が重要となる。このため、誰もが意見を出し合える話し合いの進め方について、両委員などを対象に研修会を事前に開催。地方考夢員(ちほうこうむいん)研究所の澤畑佳夫(さわはたよしお)所長を講師に迎え、ワークショップの進め方などについて学んだ。

農業委員会事務局職員が地域住民へ10年後の耕作者の年齢を色分けした地図を使って説明
担い手対策について、グループ別にワークショップで意見を出し合った

 実際の話し合い活動は町内21集落で開催され、両委員らは、自らが意向確認を行った集落の話し合いに参加。10年後の耕作者の年齢を色分けした地図や規模拡大の意向がある農家数とその面積などの情報を提供するとともに、ワークショップでは助言なども行った。
 同町農業委員会事務局の西村雄次(にしむらゆうじ)次長は「10年後の地図を見た参加者は危機感を覚えたようだ。今後も集落内で農地利用について話し合うことが重要だ」と話す。
 今後、農業経営基盤強化促進法の一部改正により、各市町村は地域計画を策定することになり、農業委員会は目標地図の素案を作成する役割を担う。野村会長は「担い手への農地集積・集約化を進めるうえで農家の意向をしっかりと把握することは最も重要。引き続き、農家の意向を確認し、農地集積・集約化を進めることが、農業委員会活動を見える化し、農家から信頼を得ることにつながる。また、農地バンクを活用し、機構集積協力金の交付を受けた集落は10集落あるが、15集落まで拡大したい」と話す。
 関係者と連携のもと、今後一層、農地利用の最適化を図っていく方針だ。