女性会長中心に多彩な活動展開 農業者年金の加入推進に力 徳島・鳴門市農業委員会
鳴門(なると)市は特産の鳴門金時(きんとき)をはじめ、野菜や果実などの生産が盛んな県内有数の農業地域。認定農業者や後継者も多く、同市農業委員会の活動も多岐にわたる。コロナ禍のもと、女性農業委員の登用促進や農業者年金の加入推進、全国農業新聞の普及、地域協議会との連携などの取り組みについて紹介をする。
鳴門市農業委員会は、農業委員20人、農地利用最適化推進委員14人で組織され、うち女性委員は6人(農業委員5人・推進委員1人)である。県内では農業委員会の女性会長(谷口清美氏)が2014年に初めて登用されている。
23年度の改選に向けて、県農業委員会女性協議会から市長、市議会議長への要請活動を受け、女性農業委員の登用率3割(女性農業委員6人)をめざしている。
谷口会長は、家族全員が農業者年金加入者であり、加入推進部長を経験してから農業委員会会長となったこともあり、加入推進に力を注ぐ。毎年3人から6人の加入者を獲得し、加入推進部長の4人は農業委員と農協職員が担って、連携し、戸別訪問などで推進。
加入者獲得の背景にはレンコンやサツマイモ、ナシなどの特産物があり、農業後継者が多いことから政策支援加入による加入者が多くなっている。今後は農業者年金に加入している夫の妻を積極的に加入推進し、女性の加入者を増やしていく予定だ。農業者年金の話について他県からの視察も多く、年金事業の広報に貢献している。
また、県農業会議によるタブレットの貸し出し制度を活用して試験的に導入。操作の研修会を開催した。オンライン会議のZOOM(ズーム)や議案についてもメールで送付し、積極的にタブレットの活用をめざしている。来年度までには委員全員にタブレットを導入する予定。
さらに、本年度は全国農業新聞の委員の購読率を上げることで、農業委員会活動に意識をもって働く地盤を整えることができた。谷口会長は県内女性農業委員の中心者として全国農業新聞紙面に掲載されることも多く、女性の活躍について積極的にPRを行っている。
他市町との情報共有にも積極的で、1980年に設立した鳴門板野(いたの)地区農業委員会協議会では1市5町の農業委員会会長と事務局が参加。農業委員会制度や農業者年金の制度改正、来年度の下限面積の撤廃についてなどを研修。各市町と協議し、よりよい解決方法を模索している。