タブレット導入、DXで効率化/福島 郡山市農業委員会

 郡山(こおりやま)市農業委員会(佐久間俊一(さくましゅんいち)会長)は、同市が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)化を踏まえ、タブレット端末を県内でいち早く導入し、農業委員会業務の効率化に取り組んでいる。

 郡山市は、県のほぼ中央部に位置し、「人」「モノ」「情報」が集まる県の中心都市でありながら、猪苗代(いなわしろ)湖の豊富な水を引き込んだ安積疏水(あさかそすい)により、豊かな水田が広がる有数の米どころでもある。
 その一方で、同市においても農業従事者の減少や高齢化などによる労働力の減少、中山間地域における鳥獣被害拡大などの課題に対して、解決への取り組みが求められている。
 こうした中、同市では、「誰もがデジタルの恩恵を受ける『こおりやま』の実現」をめざし、DX化を推進している。

タブレットで会議に参加する委員
タブレットを手に農地パトロール

 同市農業委員会でもコロナ禍の新たな会議スタイルの構築や業務の効率化のために、2021年10月に全農業委員20人と推進委員21人、事務局用5台の合計で46台のタブレット端末を市の独自予算で導入した。県内では最も早い導入で、デジタルアーカイブシステムによる情報の共有化などに関して、先進的な取り組みを進めている。
 タブレットの導入により、委員が月例総会をはじめとした各種会議にオンラインで出席が可能になり、市役所本庁と各行政センター間でオンライン会議を実施することにより、農業委員の負担軽減につながっている。また、会議資料をタブレットで閲覧することでペーパーレス化がより一層推進され、事務コストが軽減されている。
 また、タブレット端末の貸与は、現地調査でも効果を発揮している。農業委員会では、毎年の利用状況調査の結果をもとに非農地判断を実施している。20年度に17.3ヘクタールだった非農地判断した面積は、タブレットを導入した21年度には約3倍の55.9ヘクタールまで増加した。タブレット端末のGPS機能を活用し、自らの現在位置を確認。これにより、調査すべき農地を正確に把握できるため、効率的に農地を回ることができている結果だという。
 農業委員会では、今後、タブレットを活用して、農地の出し手・受け手の利用意向把握など地域計画の素案づくりに活かしていく考えだ。