素案づくりと活動の情報発信に力注ぐ 長野県・上田市農業委員会

 上田市農業委員会(伊藤利孝会長)では4月に施行された改正農業経営基盤強化促進法に基づく「地域計画」に必要な目標地図の素案づくりをスタートした。委員会では現況地図はもちろん、農地相談会で把握した意向も参考にして検討を進めている。また、農業委員会活動をより多くの市民に知ってもらえるよう、農業体験企画や独自リーフレットの発行など情報発信にも力を注ぐ。

 同委員会では、農地利用の最適化など農業委員会活動を効率的に進めていくためには、農業関係者だけでなく市民から幅広い協力を受けながら取り組んでいくべきと考えている。これは、委員会の存在や活動内容があまり知られていないことが活動の上で大きな制約と感じていたためだ。
 このため、目標地図の素案づくりに取り組む現在、農業者や地域住民の意向把握を重視する。
 農業者の意向や現状を改めて把握するため、地図情報化された耕作者別の利用状況を整備し、それを基に一部地域では検討を始めた。
 また地域住民の意向については今年1月から3月、市内10カ所で農地相談会を開催して把握。休日だけでなく平日にも開き、回数は例年の7回から16回に増やした。常に委員会職員が出席し農地台帳の情報を提供するなど、きめ細かな対応を心がけた。
 相談会の案内は、より多くの市民に参加してもらえるよう市や地域の広報誌、JA機関紙を利用し情報発信に力を入れた。

話し合いの様子

 農業委員会を身近なものとしてより多くの市民に知ってもらえるよう、昨年度は農業体験の企画などにも取り組んだ。若い世代に農業の面白さを知ってもらおうと、女性委員を中心に「子ども野菜づくり体験会」を企画。委員の有志が遊休農地を再生し会場を作り、子どもたちが土づくりや種まき、作物の収穫など農業を楽しむ場を提供した。
 2023年度には、会場を3カ所に増やし、野菜だけでなく米づくり体験会も予定する。

子ども野菜づくり体験会

 3月には農業委員会の日常活動をまとめたリーフレットも約4千枚作成し公共施設やJAの窓口に設置した。委員会の解説をはじめ、農地パトロールや相談会などを紹介。写真やイラストを多くし、農地を守る意義について分かりやすく伝えた。本年度はリーフレットを2万7千枚増刷、配布を予定している。