農地を活かし担い手を応援する 遊休農地の発生防止・解消 奈良・葛城市農業委員会

地域農業振興へつなげる

 奈良県の葛城市では、農業経営者の高齢化などで遊休農地の増加が危惧されている。同市農業委員会では、農業委員が自ら遊休農地を再生するなど、遊休農地の発生防止・解消に取り組み、地域農業の振興につなげる。

 葛城市は、同県の北西部に位置し、市の面積は3373ヘクタール。そのうち農地面積は864ヘクタールで、遊休農地は9.2ヘクタールだ。水稲やネギ、ナスなどが盛んに栽培され、二輪菊の年間出荷量は日本一を誇る。
 葛城市農業委員会(堀川雅由会長)は、農地を適正管理することの重要性を理解してもらうために、2007年度から農業委員が自ら遊休農地を再生する活動に取り組んでいる。
 農業振興活動を農業委員自らが行わなければとの機運が高まり、その一環で「遊休農地を農業委員会が率先して解消していこう」との農業委員の声から始めたものだ。
 遊休農地の解消モデル事業として取り組みを開始するにあたり、農業委員同士で推進体制のあり方などをとことん話し合った。今後の活動計画を策定し、農業委員会が一丸で取り組むことになった。
 遊休農地で栽培する作物には、パパイアなど周囲の目を引き、活動をPRしやすいものを選定するほか、かつて地元で盛んに栽培されていた観賞用の綿や黒豆、里芋などを作付けし、遊休農地の解消作物として推奨している。
 収穫した作物は、市の収穫祭「ゆめフェスタin葛城」で農業委員会のブースを設けて安価に提供・配布し、解消活動を地元住民に広くアピールしている。また、農地に関する相談窓口を開設し、遊休農地の発生防止に取り組んでいる。
 2011年度には、地元農産物の魅力や農業への理解を深めてもらうため、県農業会議、県農業法人協会と共催し、収穫・加工・料理が楽しめる食農体験会を開催した。
 体験会には、親子連れなど多数が参加した。農業委員の指導のもと遊休農地に作付けたモロヘイヤを収穫したほか、(株)農業法人當麻の家で粉末加工して、モロヘイヤ粉末を練り込む手打ちうどん作り体験を行った。
 参加者からは「『農業』を知る良いきっかけになった」「農業者の苦労や食べ物のありがたさが分かった」などの声が寄せられた。
 堀川会長は「優良農地を守っていくためには、一般消費者や地元住民の理解が不可欠です。遊休農地解消の手本となるよう積極的に委員会活動を展開して、地域農業の活性化につなげていきたい」と抱負を語る。

写真(上)=看板で遊休農地の解消活動を伝える

写真(下)=遊休農地の解消モデル事業観賞用綿の収穫作業