農委会と産業課が連携、幅広く活動 徳島・板野町

 板野町農業委員会は専任のベテラン職員1人が業務を担当している。産業課と連携しチームとして動いており、担い手の育成と農地利用集積、女性農業委員の登用促進、農業者年金の加入推進、全国農業新聞の普及などで成果を上げている。

町農業委員会の岡本さん(右)と町産業課の長井さん

 「2020年度(令和2)の国の新型コロナウイルス感染症対策で導入された高収益作物次期作支援交付金事業で、自作地と利用権設定された農地が交付対象だったことから、2カ月で1063筆・435件の利用権設定の事務処理を行いました。1人で仕事は抱え込まず、チームとして仕事をすることで成果につながっていると思います」と語るのは、同町農業委員会事務局長の岡本裕さん(52)。岡本さんは、農業委員会事務局に9年間在籍し、県農業委員会職員協議会副会長も務めるベテラン職員だ。
 町は、基幹的農業従事者が630人、耕地面積は650㌶で、春ニンジンなどの畑作で有名な地域。担い手は多いが、利用権設定が進んでいない状況だった。そんなとき、20年度に実施された同交付金事業に対応したことで、集積率が前年度より15%拡大、58%まで集積を進めた。
 また、担い手の育成などは産業課の長井秀幸さん(46)が担当。連携して町内農業者の把握に努め、農業者年金の加入対象となる重点農家を選定し、安定して加入者を獲得。毎年、町の加入目標である2人以上の実績を実現している。
 岡本さんの仕事ぶりから信頼も厚い。女性農業委員の登用も、農業委員14人のうち4人の登用を推し進めた。今後課題とする地域計画は準備中で、担い手ごとの色分け作業と、状況に応じて毎年更新することを計画する。
 また、全国農業新聞は農業委員・農地利用最適化推進委員全員が購読し、委員会活動に活用。18年度には同新聞の部数増加で表彰を受けた。

町認定農業者連絡協議会で実施したみどりの食料システム戦略に即した視察

 担い手の育成も活発だ。09年に設立した町の認定農業者連絡協議会は113軒の認定農家が会員で、担い手の育成のために先進的な機械や資材、農業経営者などの視察を年1回実施する。役員は町内の旧町村3地区から選定し、町内農業者への情報の発信と共有を行える体制を整えている。
 業務分担について岡本さんは「農業委員会としての業務は今後も増えていく一方だと思います。産業課との情報共有と連携がより一層必要で、職員の誰もが対応できる体制作りが大切です。誰が抜けても仕事ができるような組織作りをしていきたい」と語った。