ドローン空撮を導入 利用状況調査に活用 石川・中能登町農業委員会

 農業経営基盤強化促進法等の改正により地域計画の策定に向けた目標地図の素案作成など、農業委員会には大きな役割が求められる一方、業務量の増加が課題となっている。そんな中、中能登町農業委員会(宮﨑一也(みやざきかずなり)会長・農業委員14人、農地利用最適化推進委員14人)では本年度より、ドローン空撮を活用した利用状況調査を実施し、業務の効率化を進めている。

宮崎会長

中能登町は能登半島の中ほどに位置し、日本の原風景とも言える田園地帯と、それを取り巻く丘陵地の緑、潤いある河川などの身近な自然環境の中、稲作を中心とした農業が盛んな地域だ。
 従来は、例年10月ごろに利用状況調査を実施しており、委員や事務局が担当地区内の地図と農地一覧表を手に地域内を巡回していた。資料準備、スケジュール調整などの事務が煩雑であることや、委員一人一人が担当する地区も広範囲にわたるため現地確認にも時間を要するなど、委員や事務局の負担軽減が急務だった。こうした背景からドローン空撮を導入した。
 2022年度から、明らかに遊休農地でない場合の判定についてはドローンが使えるようになったことも大きく、ドローン空撮の導入は円滑に進んだ。

ドローンを飛ばす職員

 23年10月、事務局と町農政部局の職員が、ドローンで町内の農地全筆を動画で撮影した。委員が町役場、または自宅で、撮影した映像をもとに農地を確認し、利用状況調査を実施。判断が難しい農地については、後日現地確認を行い、対応にあたっている。
 事務局の河原直樹主査は「農政部局が実施する農地確認業務で『農業委員会の利用状況調査の結果を用いることができる』とする業務も増えてきている。農政部局とも連携を深め、業務量の増加に対応していきたい」と話す。
 本年度の改選で会長に就任した宮﨑会長(67)は「ドローンで撮影した映像は非常に鮮明で、問題なく農地の利用状況を確認することができる。大幅な事務負担の軽減が図られることから今後も活用していきたい。また、業務の効率化で捻出した時間は、地域計画の作成や担い手の育成・確保に向けた活動などにあて、農業委員会の活動をPRしていきたい」と語る。

空撮した農地