目標地図の素案作成へ準備着々 愛媛・鬼北町農業委員会

 2024年度末までに義務づけられた地域計画の策定・公表に向け、農業委員会では目標地図の素案作成に鋭意取り組んでいる。鬼北町(きほくちょう)農業委員会(谷口雄記会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員12人)は、同町農林課と連携し、愛治(あいじ)地区をモデル地区に設定。他地区に先だって策定準備を進めている。

 愛治地区は、担い手不足や高齢化が進む地区だが、地区の5集落すべてで日本型直接支払制度に取り組んでいる。今後、担い手不足の進行が見込まれることから、その組織活動が地域農業の維持に大きな役割を果たすと期待されており今回、モデル地区に選ばれた。
 まず、目標地図の素案作成にあたり、農地所有者や耕作者の意向を確認するため「農地状況アンケート」を実施(写真左)。「おおむね10年後をめどに規模拡大」や「リタイアを希望する時期」など意向確認を進めた。
 また、アンケートと並行して、地区の5集落の集会所で農地所有者を対象にした説明会を開き、地域計画の概要とアンケートの趣旨・記載方法について解説した。希望者には地番図と一体となった航空写真をタブレット端末で表示し、自分の農地を確認してもらいながらアンケートに回答、その場で回収した。
 昨年11月末時点でアンケートの回収率は約50%。県外や町外在住者の回答率が著しく低い結果だった。谷口会長は「町内で未提出の人には、農業委員・推進委員に戸別訪問してもらい、回収率を70%までは上げていきたい」と町内の意向把握数の増加をめざしている。

タブレットで自分の農地を確認しながら、アンケートに回答する農地所有者

 また、現在の人・農地プランの中心経営体や日本型直接支払制度に取り組む組織の代表者ら担い手向けの説明会も開き、こちらでも地域計画の概略を説明。担い手の大半が60代後半から70代前半であることから、よりイメージしやすいように大型の地図で確認してもらいながら、「5年後以降に集積できる農地」など将来の農地集積・集約の進め方や農地の保全方法などについて意見を交わした。
 今後、1月中旬までに2回目の集落説明会を開き、アンケート結果も参考に目標地図の素案作成につなげていく。
 谷口会長は、「愛治地区の取り組みが、町内の他地区で取り組む際のモデルになる。担当地区の委員には手間をかけるが、鬼北町がより良い未来を迎えることができるように、その最初の一歩としてがんばってもらっている」と熱く語った。

後継者や青年農業者など若い担い手も参加し、意見を交わし合った