農地所有者の意向把握へ見回り・声かけ活動に全力 鹿児島・鹿児島市農業委員会
鹿児島市は現在、68地域において地域計画策定に向けた作業を急ピッチで進めている。同市農業委員会(上入來幸一会長)では、戸別訪問による農家の意向確認や日常的な見回り・声かけ活動に全力で取り組んでいる。
鹿児島市は、2024年に6市町が合併した人口約59万人、面積約547平方㌔の中核市だ。施設軟弱野菜など都市近郊農業のほか、ニガウリ、小ミカン、ビワ、スイートコーン、茶など特色ある農業が展開されている。
その鹿児島市で68地域の地域計画策定に向けた作業が進められている。同市農業委員会では、もともと県全体で取り組む運動「鹿児島の農地『貸したい』『借りたい』総点検」の一環で、戸別訪問しながら農家の意向確認に取り組んできた。訪問する農業委員・農地利用最適化推進委員36人に対し、対象農家が5563戸と多いものの、活動の副題である「1・5・一絵(いち・ご・いちえ)」を文字通り実践し、1カ月に5戸程度の訪問を着実に積み重ねてきた。23年2月までの5年間で延べ6650戸を訪れ、委員の活動日数も、日常的な活動も含め月平均12.9日(22年度実績)と積極的に展開する。
地域計画作りでは、22年度の先行モデルだった喜入瀬々串地域を除く67地域を前期29地域、後期38地域に分け、農地所有者に意向を聞いた。
前期は23年5月から8月に約2400人に対し、農業委員・推進委員が戸別訪問しタブレット端末を利用して、約52%の有効回答を得た。
しかし、このやり方では委員1人当たりの訪問数が従来の3倍超と負担が大きいことから、10月以降の後期では、郵送による調査の後、未回答者や記入漏れを対象とする方針に変更。この方法で今年8月までに約3500戸を調査し、25年3月末までの地域計画の当初の策定期限に間に合わせる考えだ。
調査を終えた前期分の結果をもとに、昨年11月から地域の話し合いが始まった。12月12日の一里原地域では、現在のメンバーで施設園芸団地を維持し、万が一リタイアがあった場合は残りのメンバーでカバーすることを確認。施設の更新や販売、資材、人件費高騰対策なども話し合われた。
市では今後も、農振農用地区域をもとに、農業委員会の素案に市農林水産部が収集した認定農業者など担い手の意向を加味した目標地図の案を示しながら、地域の話し合いを進めていく考えだ。
上入來会長は「農地所有者の意向把握は委員の精力的な活動の成果。これを土台に、担い手の意向や地域の話し合いでの声を重ね合わせ、それぞれの地域特性に応じた計画作りとその実現に努めてまいりたい」と語る。