地域計画の策定に向け議論本格化 富山・入善町農業委員会

 農業経営基盤強化促進法が一部改正され、地域計画の策定が求められている。それに伴い、地域農業の将来を再考する意見交換が全国各地で活発化している。本年度、入善町農業委員会(米山義隆会長)では担い手ごとに耕作地を色分けした現状地図を見ながら課題などを話し合う、意見交換会を開いた。

色分けした現状地図を見ながら課題などを話し合う参加者

 入善町は県北東部、黒部川が形成する扇状地の中央に位置し、豊富な水資源を活かした水稲や大豆を中心に、特産の入善ジャンボスイカやチューリップなどの栽培が盛んだ。担い手への農地集積率は87%で、全国平均の59.5%、県平均68.8%(いずれも2022年度実績)を大きく上回る。
 同町農業委員会では23年8月から、地域計画の策定に向け、町内10地区で地域農業の将来について協議する意見交換会を開催。人・農地プランで担い手とされた地域の認定農業者など農業経営者や町農政課、町農業公社、県農林振興センター、地元農協などが参加した。
 農業委員会から農業経営基盤強化促進法の改正について説明し、その後、参加者を班に分けて色分けした農地の現状地図を見ながらグループワークを行った。コーディネーターを中心に進められ、最後に各グループで出た意見を発表、地区全体で課題などを共有した。
 出てきた課題は地区ごとにさまざまだったが、「後継者が不足していること」「歪(いびつ)な形状の農地の受け手が見つからないこと」「農地の点在」は全地区共通であげられた。
 中でも農地が点在していることは、積極的に農地の集積・集約化に取り組んでいる町にとって大きな課題だ。圃場によって耕作条件が違ったり、所有者の意向で耕作者が決まっていたりと簡単に課題解決には至らないことが多いこともわかった。
 農業委員会では、そのような農地を含め、今後どのように集約し、地域計画を取りまとめるかを考えていく予定だ。

耕作地を担い手ごとに色分けした地図

 この意見交換会は参加者から好評で、現在の耕作地の状況を図面上で確認し、地域の課題について考える機会ができたことは大きな収穫だったという声もあった。
 農業委員会の川原弘美係長は「この話し合いをきっかけに、町の農業の将来像を協議していく雰囲気が形成されていけば」と期待を込める。
 米山会長は「10地区それぞれにある課題を法人、営農組合、個人農家が共有して今後の営農活動や集約化に向けて役立てることができればいい」と語った。