活動活性化へ委員が率先垂範 奈良・橿原市農業委員会

 橿原市農業委員会(上田逸朗会長)では市内の耕作放棄地を委員が活用して水稲を栽培。収穫した米を農業祭で配り、地元産の米をPRした。また、農地パトロールにタブレットを導入し、現地確認アプリの活用で省力化に取り組むなど、さまざまな手法で農業委員会活動の活性化を進めている。

 農業祭で配布した「ひのひかり」
 配布に向けてお米を袋詰めする農業委員

 橿原市は奈良県の北西部に位置し、奈良盆地中南部の中心都市だ。大和平野が広がり、水稲、イチゴ、鉢花を主要作物とした農業が行われている。
 近年、米の消費が減少傾向にあり、農業者の減少とともに同市における耕作放棄地の増加に影響している。米は日本の伝統的な主食であり、食べることで健康寿命につながっていると言われていることから、同市農業委員会は米の消費拡大を考えた。
 上田会長の考案で市内の耕作放棄地を委員が利活用し、かしはら産「ひのひかり」を栽培、収穫した。地元産うるち米を消費者に配布して味わってもらうことで、地元産米の地域での消費拡大をPRするのが目的だった。
 2023年11月に橿原神宮で開催された第51回橿原市農業祭で、このひのひかり300㌘を先着500人に無料配布を企画。午前10時から振る舞われたうるち米は30分で全てなくなるほどの人気だった。
 農業祭でうるち米を配布するため、一目でかしはら産の新米と分かるようにパッケージにこだわり、委員全員で事前に準備。地元の消費者を中心に「お米を食べたい」というきっかけになるよう心を砕いたという。
 上田会長は「地産地消をめざす中で、地域の皆さんに地元産の米のおいしさを知ってほしい。今回の取り組みをきっかけに米の消費拡大につながれば」と語る。

 タブレットを活用して現地調査

 同市農業委員会では、農地パトロールの省力化も推進している。
 23年8月下旬から9月中旬にかけて行われた農地パトロールの全ての日程で、タブレットに内蔵されている現地確認アプリを活用し現場確認を行った。
 事務局職員がそばで支援をしながら、委員が操作。従来の紙地図のみで農地パトロールを行っていた時と比べると作業効率や農地確認の精度が上がったという。
 現地確認アプリを使った委員からは「現在地が表示されるため、農地区画や地番の確認が簡単にできた。紙地図より正確な情報をすぐに得られるのがメリットだ」という声も上がった。
 同市農業委員会事務局は「今後、委員の皆さんが違反転用など、随時調査を行う時の現地確認をタブレットで入力できるような体制を整えていきたい」と意気込む。